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不思議な神様が大集合!「新・秋田の行事 in大館2023」(下)

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

(上からの続き)11月11日(土)、大館市はあいにく雨模様の天気でしたが、樹海ドームの中は濡れる心配がないので安心です。いよいよ『新・秋田の行事 in大館』1日目が始まります。

特設ステージでは音楽演奏やトークイベント、伝統芸能など、『新・秋田の行事』と『ハチ公生誕100年フェスティバル』の企画が交代で披露されます。初日のトリは秋田犬のランウェイでした。

カラフルな『新・秋田の行事』のヴィジュアルイメージはもちろん宮原さんが手がけたもの。秋田犬と伝統芸能の融合という。今回のイベントのテーマにぴったりの作品です。

オープンと同時に「不思議な神様館」には次々と来場者が。ショウキサマのインパクトある姿に引き寄せられる方が多いようです。両日ともにこの前で記念写真を撮る方がたくさんいらっしゃいました。

「不思議な神様館」のワークショップは人形道祖神を祀っている集落の人々から人形作りにも欠かせないワラ編みの技を教えてもらうもの。初日は「ジンジョ祭り」でおなじみの大館市山田集落による「俵のミニマットを作ろう」。俵編みのミニマットは近年までお盆の飾り棚用に制作されていました。午後4時まで、定員の12名を超える19名の方に体験していただきました。

ギャラリートークは1日目、2日目共に2回ずつ開催。私が人形道祖神、宮原さんがパネルを中心に説明するという流れ。これだけ展示にボリュームがあると30分以内に収めるのはなかなか難しい…。

あっという間に1日目が終了。最後は山田集落の皆さまと一緒に記念撮影です。

この日の来場者は5600人ということでしたが、仮に10分の1の方が見に来られたとしても500人以上。大館市だけでなく、県外から来られた方もたくさんいました。『村を守る不思議な神様・永久保存版』(KADOKAWA)を東京で購入し、たまたま仕事でこの会場に来たみたら、本物の神様がいらっしゃってビックリしたという男性。台湾から青森に仕事で来ていて、日本の文化に興味があって寄ったみたら、展示されている人形道祖神に思わずハマってしまったという女性など、たくさんの嬉しい出会いがありました。インドネシアやフィリピンなど、海外から来られた方々にも大人気。じっくりと時間をかけてご覧になっているお客様が多かったです。

そして11月12日(日)、2日目です。

この日もオープンと同時に沢山の方々に来ていただきましたが、明らかに前日よりも人出が多い。後で知ったのですが、この日は樹海ドームに初日の7割増しとなる9200人が来場されたそう。「『不思議な神様館』を見るために来た」という方も多く、嬉しい悲鳴でした。

2日目のワークショップは中羽立集落による「お正月のしめ縄飾りを作ろう!」。先生は中羽立のワラ編み名人・若狭昭夫さん。この会も参加希望者が定員を超え、16名の方に体験していただきました。

午後2時半からは私たちがステージに上がって「不思議な神様館」を紹介。人形道祖神の説明に入り、「村境に祀られているだけでなく、お祭りの時になると動き出すんですよ」と紹介したところで、どこからか笛の音が…。

するとレッドカーペットの奥から神山のニンギョウサマがリヤカーに乗ってやってきました。その後ろには神山青年会の山本会長が太鼓を叩きながら続きます。「神山の人形祭り」の再現です!

ニンギョウサマがステージに到着したところで山本会長に登壇していただき、お話をしてもらいました。私にとって今回のイベントのハイライト。この会場で是非実現させたかった企画でした。展示と併せて、「村を守る不思議な神様」の魅力を沢山の方に感じてもらえたのでは、と思います。

そして最後のギャラリートークへ。今年2月の「あきた無形民俗文化財万博」の時もそうでしたが、ギャラリートークは回を重ねるごとにコツを掴んできます。ちょうど慣れてきたところで最終回、というのがなんとも惜しいところ。またどこかの「不思議な神様館」でお会いしましょう!

イベントの様子は宮原さんのブログ旅するマーケットのブログでも。

今回の「不思議な神様館」は実行委員会の方々だけでなく、家族、そして人形道祖神をお祀りしている集落の皆さまとも一緒に作り上げました。我が家からは両親、妻、娘、叔母夫妻が泊りがけでお手伝い。シンボルとなったショウキサマを立てるのを指導していただいた末野の皆さま、そして、実際の人形道祖神を展示させてもらった小雪沢、中羽立、神山からは、ほぼ二日間、集落の方々が会場に来てくれて、神様を見守りながら時には解説もしていただきました。

こんな素晴らしい機会を与えていただいたことに心から感謝です。ご来場いただいた皆さま、ご協力いただいた皆さま、本当にありがとうございました。

秋田公立美術大学の正面入口にショウキサマが!!

イベントを終えて、大館市内3カ所の人形道祖神はそれぞれの集落へ、そして秋田美大のコレクションは大学へと無事お帰りに。そして、これまで大学内の「アトリエももさだ」に安置されていたショウキサマやカシマサマは構内の各所に配置されることに。末野のショウキサマはなんと大学正面入口に立ちました。現在、その雄姿をいつでもご覧になることができます。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft