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【動画付き】奇想民俗博物館「まつりと」品川キヤノンギャラリーSにて好評開催中!

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

1月20日(土)より、東京都品川にあるキヤノンギャラリーSでキヤノンギャラリー50周年企画展・奇想民俗博物館「まつりと」が始まりました。前回のブログでもご紹介した通り、日本各地の祭りの写真の他、秋田県の人形道祖神やカシマニンギョウなども展示されるということで、私たち秋田人形道祖神プロジェクトが全面的に協力させていただいております。早速、展示の様子をご紹介しましょう!

1月18日、私と宮原さんは設営のために品川へ。キヤノンギャラリーSは品川駅東口から徒歩8分程にあるキヤノンマーケティングジャパン本社(キヤノン S タワー)内にあり、昨年から始まった50周年企画では蜷川実花氏やレスリー・キー氏といった著名な写真家の個展が開催されています。都会的な雰囲気の展示会場に「ここで”おらほの神様”が展示されるとは」と胸が熱くなりました。

展示設営は熟練のスタッフの皆様のおかげで、夕方までに終了。洗練されたギャラリーが魑魅魍魎な「民俗博物館」に様変わりしました!

ギャラリーの入口には末野のカシマニンギョウと松崎市男さん(故人)が制作した「じゃんばら注連縄」。その奥には民俗写真家・芳賀日出男先生(故人)が撮影した福島県田村市船引町のオニンギョウサマの実物大パネルが。まるで「異界へようこそ」言っているかのよう。

会場に入ると奥には大館市山田のジンジョサマ、そして松崎市男さんの藁細工が展示されています。ジンジョサマは2020年、所沢市の角川武蔵野ミュージアムでの展示の際に「オール山田」で制作され(こちら)、現在は秋田公立美術大学に収蔵されている資料をお借りしてきました。

まるで鹿島流しの写真パネルから飛び出してきたかのような、小さくとも存在感があるカシマニンギョウたち。リーダーの斉藤繁さん作の人形を筆頭に、末野の皆さんの願いが込められた「カシマ」がついに東京見参!です。

「村を守る不思議な神様」コーナーでは宮原さんの原画を解説入りで展示。今回、3点の絵を描き直し、さらに1点新作を追加しました。「描き方が6年前とは異なり、納得いくレベルまで持っていきたかった」と宮原さん。なんと出発数時間前まで筆を入れていたそう。この展示にかける執念が伝わってきます。
宮原さんの目からみた展示の搬入とオープニングの反響の様子はこちら→「大阪に戻りました!品川はすごかった!」

19日は午前中、東京ステーションギャラリーで開催されている「みちのくいとしい仏たち」を観に行きました。北東北の民間仏を集めた企画展で、岩手、京都、東京を巡回。こちらの公式図録には主要参考書籍として、私たちの『村を守る不思議な神様・永久保存版』が掲載されております。昨年、岩手で観た時はゆっくりした会場の雰囲気でしたが、東京では結構な混雑ぶり。民間仏と人形道祖神は大きな括りでは仲間だと思っているので、「ついに”おらほ”の時代が来た」と勝手に嬉しくなりました。「いとしい仏たち」と「まつりと」を併せてご覧になると、北東北の民間信仰がより身近に感じられると思います。

夕方からはキヤノンギャラリーSで関係者を招いた内覧会に参加し、たくさんの方々とお会いしました。その中には芳賀日出男先生のご子息で同じく写真家として今回の展示にも出品されている芳賀日向先生ご夫妻も。ナマハゲや竿燈などの撮影で何度も秋田を訪れているお二人。お父様も秋田の民俗行事には特別な思い入れがあったそう。ちょうど「村を守る不思議な神様」コーナーの真向かいには日出男先生が撮影したナマハゲや秋田万歳などの貴重な写真が展示されております。

初日の20日は終日在廊しました。日ごろお世話になっている方から、お久しぶりの方、初めましての方まで、本当にたくさんの方々に来ていただきました。私たちが担当した展示には「写真だけでなく実物や絵画があるので、展示に変化があって良かった」、「実際の藁細工があるおかげで、来訪神の写真がリアルに感じられた」など、大変ご好評いただきました。

ブログでは紹介できませんでしたが、会場には芳賀先生をはじめ、プロの写真家が撮影した北は北海道、南は沖縄まで全国各地の民俗行事の素晴らしい写真が数多く解説入りで展示。さらにキヤノンさんが各地で撮影されてきた祭りの動画も常時上映されております。これらをじっくり観るだけでも十分に価値がありますが、さらに「山田のジンジョサマ」、「末野のカシマニンギョウ」、「松崎市男さんの藁細工」、そして「宮原葉月の絵画作品」という盛りだくさんの内容。日本の民俗行事や民間信仰にご興味のある方は必見!ぜひお越しください。

キヤノンギャラリー50周年企画展・奇想民俗博物館「まつりと」

2024年1月20日(土)~3月4日(月)10時~17時30分
※日曜・祝日休館 入場無料
会場:キヤノンギャラリーS
東京都港区港南2-16-6 キヤノン S タワー 1F・2F
※JR品川駅(2階)港南口方面より徒歩約8分 京浜急行品川駅より徒歩約10分

ギャラリー内の展示作品を紹介する公式動画です

2月17日(土)、キヤノンギャラリーSにて秋田人形道祖神プロジェクトによるスライド&ギャラリートーク開催

コロナ禍後、初となる東京でのトークイベント。当日はイベント以外にも終日ギャラリーに在廊する予定です。

「なまはげだけが秋田じゃない ~人形道祖神の魅力に迫る」

講師:小松和彦、宮原葉月(秋田人形道祖神プロジェクト)
日程:2024年2月17日(土)
時間:第1部14:00~14:45 /  第2部15:00~15:45
会場:キヤノンギャラリーS


第1部:人形道祖神を広めたアートの発信力
斬新な色遣いで描かれた人形道祖神は民俗学に興味がある人だけでなく幅広い層からの興味を喚起。書籍化や展覧会が実現しています。アートによる発信力の実践を解説します。

第2部:人形神を立てる、流す
会場に展示されているジンジョサマ、カシマニンギョウを中心に秋田県各地に伝わる「人形の祭り」を現地で撮影した動画や写真で解説します。
いずれの回もギャラリーを巡り、展示されている人形道祖神に関する解説も行います。
【入場無料、定員20名程度、当日先着順】

皆様のお越しをお待ちしております♪

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft