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ついに開幕!『ARTS & ROUTES~あわいをたどる旅』解説編 vol.1 in 秋田県立近代美術館

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 先月28日に「ARTS & ROUTES~あわいをたどる旅」展がスタート。私たちは下記の作品を出品しました。

プロジェクト名:秋田人形道祖神プロジェクト/小松 和彦(Komatsu・Kazuhiko)、宮原 葉月(Hatsuki Miyahara)
タイトル:《幻の泥塑天子(どうそてんし)を探して》
制作年:2020年
素材:ルポルタージュと人形道祖神画
 アクリル絵具、水彩紙、木材、スチレンボード、紙
制作協力:越後谷洋徳/デザイン、浅倉紀男/校閲

 今にして思えば信じられないスピードで仕上げていった今回の作品。通常は1年かけて制作したいところを、たった3ヶ月で、リサーチ →リサーチを元に脚本化、絵の制作と展示デザインを一気にやり遂げました。こんな驚異的なスピードが可能だったのは、コーディネーターやデザイナーの皆様のご尽力があったらこそ。この汗と涙の過程は後日順を追ってご紹介いたします。今回は作品について、複数回に分けて解説いたします。

 <これまでの関連ブログ>
準備編 vol.1「美術館視察」
準備編 vol.1.5「カシマサマ調査」→準備中
準備編 vol.2「カシマサマを運び入れる」

森吉ダム(北秋田市)。旧桐内村が水底に沈む

 写真中央の絵は、森吉ダムを臨む十四合同神社にひっそり佇む人形道祖神の頭部。2018年12月21日、私たちは雪が積もる中を初めて見に行きました。(有料記事「ヒエキガミが来た道(4)~ダム湖に沈んだ村見つめる」 <秋田魁新報電子版>にてその時の様子をご紹介)

 実はこの道祖神、菅江真澄が1802年12月12日に桐内村でみたという「泥塑天子(どうそてんし)(※1)」の子孫ではないかと想定されています(※2)。真澄は赤い面と青い面を付けた男女一対の人形があり、雪の中にこれらが立っていたのでびっくりしたことを記しています。(真澄の図絵は「菅江真澄をたどるプロジェクト最も古い形態の人形道祖神を記録した観察眼」<arts center akita HP>にてご紹介)

※1 図絵では「避疫神蒭霊(ひえきがみくさひとがた)」として紹介されている。
※2 民俗学者の神野善治さんが考察されている。

 「泥塑天子」、つまり桐内の道祖神が200年を超えて存在していたことに大きなロマンを感じました。しかし現在は頭部だけ。いつから体が作られなくなったのだろう? どんなお姿だったのだろう? 真澄の時のお顔と今残っているお顔は違うのだろうか・・・?その謎を解きたくても、桐内村が森吉ダムに沈んでしまい、聞き取りできる方の存在がわからずじまい。調査は確認のみで中断しました。

 ところが2年後の2020年9月6日、阿仁合コミューンにて別の人形道祖神について戸嶋喬さんにお話を伺っていたところ「小さい頃、桐内のショウキサマを見たことがあるよ」というお話が出て驚きました。「えええ!?」桐内の道祖神はショウキサマという名称で祀られていたことが分かりました。
 戸嶋さんの言葉を夢中で聞き取り、ラフを描いてそれを確認してもらいながら、架空の人形道祖神を描きあげました。

 「桐内のショウキサマは、ここから北へ40キロ先にある『小掛集落のショウキサマ』に似ている。もしかして・・・」

とあることに気付いた小松さん。このときの仮説に基づき一か八かのリサーチの旅へ出かけることになります。 つづく

1802年12月12日 / 真澄は桐内村で「泥塑天子」を見る。

2018年12月21日 / 私たちは森吉十四合同神社でその子孫の頭部を見る。

2020年9月6日 / 偶然にも戦前の「泥塑天子」の姿を知る方に出会う。

「ARTS & ROUTES
あわいをたどる旅」

会期/2020年11月28日(土)~2021年3月7日(日)
(休館日:12月29〜31日及び、1月13〜22日)
会場/秋田県立近代美術館
観覧料/一般1,000円(800円)/高校生・大学生500円(400円)
※中学生以下無料、( )内は20名以上の団体および前売の料金、学生料金は学生証提示、障害者手帳提示の方は半額(介添1名半額)
主催/ARTS & ROUTES 展実行委員会(秋田県立近代美術館・AAB秋田朝日放送)・秋田公立美術大学

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara