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横手市大森町で「鹿島行事フォーラム」開催されました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

昨年も各地の教育機関や研究会、文化講座などで講演する機会をたくさんいただきました。聴講された皆さまからは温かい言葉を頂戴したり、新情報を教えてもらったりと、私たちの活動にとって大きな活力になっております。2022年12月10日、横手市大森図書館にて大森町郷土史研究会の主催で行われた講演会もその一つです。

この研究会は『村を守る不思議な神様・永久保存版』(KADOKAWA)の第8章「大きなカシマサマと小さなカシマサマ編」で「中ノ又の知恵袋」として登場する佐藤克男さんが主宰されています。佐藤先生は地域の学校長などを歴任されながら、菅江真澄の研究やお住まいのある中ノ又集落の鹿島行事に携わられてきました。今回の研究会は前半が『横手市大森地域の鹿島祭りについて』と題した私(小松)のスライドトーク、後半が大森地域で鹿島行事が伝承されている4つの集落の代表者が、それぞれの行事を紹介するという2本立てのプログラム。佐藤先生が企画された後半のトークセッションは私自身もとても楽しみしておりました。

この会には当初の定員である30名を超える参加希望があり、当日は立ち見のお客様も。「これまで開催してきた講演会の中で、今回が一番聴講される方が多いようです」と佐藤先生。鹿島行事への関心の高さをうかがえる、嬉しい悲鳴です。

写真は多賀糸さん撮影

前半の私の講演は人形道祖神のカシマサマだけでなく、「鹿島流し」も含めた鹿島行事という観点でお話させていただきました。秋田県南内陸部の鹿島行事を大きく5つに分類して紹介。その後、大森地域でこれまで取材した中ノ又、松田、末野の行事を解説しました。一つの地域に限定した内容の講演会は昨年、大館市能代市でやらせていただきましたが、地元の方が真剣に聞いてくれるおかげでいつも心地よい緊張感があります。

そして後半は大森地域の本郷、末野、松田、中ノ又の代表者(末野は第一回鹿島人形コンテストグランプリの芦沢義弘さん、中ノ又は佐藤先生)によるトークセッション。まずはそれぞれの行事について紹介。「参加者が少なくなっている」、「藁の確保が難しい」といった現状の問題についても話し合われました。「藁編みのやり方を教え合うなど地域間で交流することが文化の継承に繋がるのではないか」といった提案も。一瞬たりとも目が離せない、熱く、濃厚な一時間。トークセッションの内容はまさに「大森地域・鹿島行事フォーラム」でした。

「参加した皆さんは、鹿島行事という貴重な民俗遺産を継続していきたい、そのためには多くの人が関心を持ち、地域の人が力を合わせていくことが大事だ、と感じたと思います」と佐藤先生。私もこうしたフォーラムを通じて情報を共有することが、行事の継承にとって必要なのではないかと感じました。

人形道祖神に関するフォーラムは一昨年、福島県立博物館での企画展の際に登壇させていただきましたが、またいつかやってみたいと思っていました。今回、大森町で開催していただいたことで、大きな手ごたえを感じております。こうしたイベントを県内各地、そして全県、全国レベルでやってみたい。そんな新たな目標が生まれた、有意義な講演会になりました。

4週間後は「あきた無形民俗文化財万博」

前回のブログで宮原さんが詳しく紹介した2月5日の「あきた無形民俗文化財万博~カタチなきたからもの~」。当日私たちが担当する「不思議な神様館」のギャラリートークはおかげさまで既にご予約をいただいるそうです(宮原さんのブログより)秋田人形道祖神プロジェクトが二人揃ってイベントに参加するのは久しぶり。展示ブースはプチミュージアムになる予定です。

「神山の人形祭り」の映像が1月10日、NHK総合で再放送(東北6県で視聴可能)

前々回のブログで紹介した神山の人形祭りの様子が1月5日、NHK総合「ニュースこまち」で放映されました。私のインタビューがメインの番組でしたが、神山のニンギョウサマの魅力が伝わる映像でした。そして、1月10日午前7時45分頃からNHK総合で再放送されます!今回は秋田県内だけでなく、東北6県でも放映されるとのことですので、視聴可能であれば是非チェックしてください♪

人形道祖神の本質は「マツリ」にあると、改めて感じております。その中でも「極めつけ」の祭典はこちら↓どうぞお見逃しなく!

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft