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新刊のご紹介 その7「マタギ文化と道祖神」編

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

昨年の今頃は残暑が厳しかったような気がしますが、今年はお盆過ぎから涼しい日が続いております。 秋田の農村では稲穂が実り始めました。 いよいよ「実りの秋」のスタートです。

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いよいよ来週、9月15日発売となる『村を守る不思議な神様・永久保存版』(KADOKAWA)。第5章は「マタギ文化と道祖神」。マタギとはご存知、狩猟を主な生業としてきた山の民。山の神を信仰するマタギは、農業の神様でもある道祖神とはあまり繋がりが無いと思っていました。しかし、かつてマタギが多く暮らしていた仙北市桧木内地区にも人形道祖神があった、という話から物語はスタートします。

『雪國の民俗』 (右)、 『日本民俗図録』 (左)に掲載されている桧木内の「病除けの藁人形」

『雪國の民俗』(1944)、『日本民俗図録』(1955)には村はずれに立てられた人形道祖神の写真が掲載されています。撮影されたのはなんと桧木内。 『日本民俗図録』 にはこの藁人形が立てれている集落の名前が記されていました。

残念ながら現在その集落に藁人形は祀られていませんでしたが、そこから少し離れた吉田集落には現在も藁人形が立っていることを教えていただきました。名称はそのまま「ワラニンギョウ」!

人形立てに参加された吉田の皆さん

ワラニンギョウを立てる行事へ。そこでマタギとの関係を尋ねますが、はっきりしたことは分かりません。しかし、戦前に書かれた一冊の本に、この地域のマタギと道祖神との繋がりを示す大きなヒントが書かれていました。この本を頼りに、ある行事を取材します。

◆地名が悪田から吉田へ変わった、その訳とは?

◆お参りするだけで結婚!妊娠!強力なパワースポット

◆山の神はサエノカミ(道祖神)?

吉田のワラニンギョウの行事は2019年にBSプレミアム「ニッポンぶらり鉄道旅」でも放映されたので、ご覧になられた方も多いと思います。一冊目の『村を守る不思議な神様』にも取り上げましたが、その後何度も取材をさせていただき情報量が格段に増えたので、新たに書きたいと思っていました。新刊では「マタギ」を切り口に、仙北市桧木内の道祖神の魅力をたっぷりとご紹介します。

新刊の概要はこちらから。
またご予約も承っております。→amazonページ

◆目次
プロローグ ~わら人形を作りなさい
第1章  人形道祖神のメジャーリーガー(湯沢市)
第2章  江戸時代の旅人・菅江真澄が見た秘境の神様(大館市)
第3章  境界と道祖神(大館市)
第4章  男と女の神(大館市、能代市)
第5章  マタギ文化と道祖神(仙北市)
第6章  明治政府が消したかった古代信仰(大仙市)
第7章  山村に生きる(大仙市、湯沢市)
第8章  大きなカシマサマと小さなカシマサマ(横手市)
第9章  奇祭! 動き出すわら人形(横手市、湯沢市)
第10章  ナマハゲと道祖神(にかほ市)
第11章  幻の泥塑天子を探して(北秋田市)
エピローグ~復活と継承(大仙市)
◆アート
新刊のご紹介 その3 ナマハゲ・アートが生まれるまで
新刊のご紹介 その6 マンガ「道祖神の成り立ち編

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft