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新刊のご紹介その1「人形道祖神のメジャーリーガー」編

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

 秋田人形道祖神プロジェクトの新刊『村を守る不思議な神様・永久保存版』が9月15日、KADOKAWAから発売されます。本書はこれまで刊行した2冊の「村を守る不思議な神様」を書き直して再編集。新たな内容を大幅に書き加えた「最新版」。こちらのブログでは本の内容について各章ごとに紹介していきます。

 第1章は「人形道祖神のメジャーリーガー」湯沢市岩崎のカシマサマ(鹿島様)です。

 岩崎にある3体のうちの一つ、末広町のカシマサマについては『村を守る不思議な神様1』でも紹介しました。この時はまだ道祖神の取材を始めたばかりだったこともあり、今になって読むと内容がやや薄く、何かの機会に書き直したいと思っていました。今回、KADOKAWAから出版されることが決まった際に、真っ先に取り掛かった原稿がこの一章です。

 「人形道祖神のメジャーリーガー」というタイトルは昭和61年にアメリカ・ワシントンDCで制作展示されたことに由来します。なぜカシマサマが海を渡って展示されることになったのか、物語はそこから始まります。

 この章では末広町の他に、栄町、緑町のカシマサマも登場。2年間にわたり取材した内容を元に、今まであまり語られることのなかった「ひみつ」や「謎」についても考察していきます。

◆80年前、カシマサマの姿かたちは今と大きく異なっていた

◆3体共に元々は違う場所に祀られていた

◆どうして藁(わら)でできているのか

 また、「当初カシマサマが祀られていた場所」まで記した完全イラストマップを宮原さんが制作。岩崎の道祖神巡りをする上で、便利なガイドブックになるでしょう。

 まさに人形道祖神の旅の基礎編となる一章です。

 このブログではこれまで何度も登場しております。
2年ぶりの岩崎鹿島祭り(2021)
湯沢市岩崎「末広町カシマサマ」作り替え取材!(2019)
湯沢市岩崎地区 緑町のカシマサマ作り替えを取材!(2019)
圧巻の衣替え~湯沢市岩崎(2018)

 岩崎のカシマサマは人形道祖神の代表格ということもあり、秋田県内ではよく知られております。しかし、それについて書かれた書籍は民俗学の専門書でも決して多くありません。地元の秘話や制作方法などを知っていただくと、実際の「人形道祖神のメジャーリーガー」を数倍面白くご覧になれると思います。

新刊の概要はこちらから。
またご予約も承っております。→amazonページ

◆目次
プロローグ ~わら人形を作りなさい
第1章  人形道祖神のメジャーリーガー(湯沢市)
第2章  江戸時代の旅人・菅江真澄が見た秘境の神様(大館市)
第3章  境界と道祖神(大館市)
第4章  男と女の神(大館市、能代市)
第5章  マタギ文化と道祖神(仙北市)
第6章  明治政府が消したかった古代信仰(大仙市)
第7章  山村に生きる(大仙市、湯沢市)
第8章  大きなカシマサマと小さなカシマサマ(横手市)
第9章  奇祭! 動き出すわら人形(横手市、湯沢市)
第10章  ナマハゲと道祖神(にかほ市)
第11章  幻の泥塑天子を探して(北秋田市)
エピローグ~復活と継承(大仙市)

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft