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木下の鹿嶋祭典を取材しました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

今年の夏はとにかく暑い!秋田県内では35度を超える日が続き、半年前まで雪が積もっていたのが嘘のような熱帯モードです。世界中で異常気象のニュースが後を絶たず、地球環境の悪化が心配になります。

7月22日の「海の日」、横手市十文字町木下(きじた)のカシマサマの行事「鹿嶋祭典」を取材しました。こちらのカシマサマは鹿嶋神社という神社の祭神として祀られている、とても珍しい人形道祖神です。年一度、7月に開催されるお祭りは2019年にはじめて取材させていただきました。その後、2020年の1月にはスライドトークショーを開催(こちら)。昨年は新型コロナの感染拡大により、行事が大幅に縮小されたため(こちら)、今年は2年ぶりに人形の作り替えと、巡行を取材させていただけることになりました。

午前8時半、神社から近くの作業所にカシマサマを遷して作り替えが行われます。纏っている着物や裃を脱がせると、普段は見られない神様の裸身があらわに。人形の制作を指導するのは昭和17年生まれのお二人、菊地哲雄さんと菊地千代治さん。今年は良い藁が手に入らなかったということで、作り替えは最小限に留まりました。

カシマサマはお昼前には完成。集落の会館へと運ばれると、宮司さんによる神事が行われて魂が入れられます。髪はエビクサという水草、裃はカツギ(マコモ)で作られており、「緑の若大将」といったたたずまい。

午後6時半から、カシマサマは台車に乗って集落を練り歩きます。お囃子に合わせて台車を引くのは子供たち。沿道の家々からは住民の方々が次々とお参りに来られます。まるで根源的なスタイルの山車(だし)祭りのようです。そして、日がとっぷりと暮れた午後8時にカシマサマは元の神社へお戻りになられました。

この取材の詳しいレポートは「カシマサマが神社に祀られるようになった理由」、「明治時代にカシマサマを記録した文献」といった情報も含めて、8月27日の秋田魁新報・ハラカラに掲載する予定です。是非お楽しみに♪

そして、私たちの新作であり初の大手出版社からの刊行となる『永久保存版・村を守る不思議な神様』は目下制作が大詰めを迎えております。今回取り上げた木下のカシマサマについても2019年の取材を元に掲載。宮原さんはこの本のために沢山のイラストと4編のマンガを描きました。これまでになかった、新しい「秋田本」、「道祖神本」が誕生します。発売日など、詳細は近日中にリリースする予定です。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft