Blog

今年も秋田はカシマの夏

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

新型コロナウイルスの感染拡大が止まりません。昨年の今頃は「来年になれば少しは落ち着いているかな」と思ったりしましたが、現実は正反対でより深刻度を増しております。早く安心して暮らせる日が来ることを祈るばかりです。

今年も夏祭りの中止が各地で相次ぐ中、人形道祖神の作り替えや鹿島流しは規模を縮小しながら行われていることが多いです。こんな時こそ「悪疫退散」をカシマサマに祈りたいという人々の気持ちの表れに他なりません。

県南内陸部の横手市、湯沢市で、この夏に作られたばかりのカシマサマを見てまわりました。

まずは横手市平鹿町上中野のカシマサマ。最初に見たのは3年前でしたが、その時よりもかなり大きくなられています。顔をラミネート加工しているのがこちらの特徴。

上中野のすぐ近くにある石塚のカシマサマ。こちらはおそらく人形道祖神としては最も小さい体長60センチ。以前、地元の方からお聞きしたのは、元々こちらでは鹿島流しを行っていましたが、継続が困難になったので人形を一体村はずれに祀るようになったと。今年のミニマムカシマサマは忍者風です。

横手市平鹿町樽見内のカシマサマ。こちらは昨年、行事を取材させていただきました→こちら。冬の暴風雪で壊れてしまい、しばらくカシマサマが不在の状態が続いていましたが、この夏無事に復活。おめでたい!

横手市平鹿町上吉田田ノ植のカシマサマは7月下旬「数日限定」で村境に祀られる道祖神。こちらの集落では小さな鹿島人形を村境へ送る「鹿島送り」が伝えられてきましたが、昭和の終わり頃から大人形も作られるようになりました。

2019年の取材の様子

田ノ植の行事は2019年に取材させていただきました。その時は集落の皆さんが集まってたくさんの鹿島人形を制作。大人形の顔は宮原さんが担当しました。昨年からは新型コロナの感染防止のため、大人形だけを有志で作ることになったそうです。

このブログで何度も登場している湯沢市御返事(おっぺち)のカシマサマ。今年も秋田が誇る奇祭「人形送り(鹿島祭り)」が開催されました(昨年の様子)。行事の取材はできませんでしたが、1週間後に拝みにうかがいました。毎年表情が変わるのが御返事のカシマサマ。今年は猛暑のせいか少しお瘦せになったご様子。

横手盆地では夏の恒例となる鹿島行事。今年もたくさんの個性的な藁人形がお目見えしました。行事を実際に取材した2カ所のカシマサマは後日改めてご紹介いたします。

来月発売予定の新刊『永久保存版・村を守る不思議な神様』では県南各地のカシマサマを紹介します!代表格の岩崎のカシマサマ(末広町、栄町、緑町)をはじめ、御返事、木下、藤巻の「動き出す!カシマサマ」、人形道祖神と鹿島流しの微妙な関係に迫る末野と中ノ又の鹿島行事。そして宮原さんは行事の際にいただいたある野菜を通じてカシマサマの魅力を漫画で描きます。是非お楽しみに♪

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft