Blog

人形道祖神と秋田めぐるツアー(前編)

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

今年7月、神楽坂・かもめブックスさんでのイベントに参加してくれた宮原さんのご友人たちが「今度秋田に行きたい!」と口を揃えておっしゃいました。「よかったら年内にでも」 とお誘いしたところとんとん拍子に話が決まり、11月22日から2泊3日のプランで3名の方が秋田に来られました。もちろん案内役は私と宮原さんです。

旅人たちが秋田空港に到着後、真っ先にお連れしたのは湯沢市岩崎の「末広町のカシマサマ」。メジャー級の人形道祖神がお出迎えです。

続いては岩崎にある創業165年の味噌醤油醸造元・石孫本店へ。石川社長から丁寧にご案内いただきました。石孫さんの明治時代からほとんど変わらないという伝統の味噌醤油作りに東京から来た皆さんも感動の様子。

写真の赤いタンクは大豆を蒸すための機械。今はステンレス製のものが多いそうで、「昔の鋳物は大変丈夫なんですよ」と石川社長。友人がこのタンクを、さきほど見た「末広町のカシマサマみたい」と呟きました。すっかり人形道祖神女子になっているようです。(宮原)

この日の宿は湯沢市皆瀬の小安温泉郷。この時期はカメムシが部屋の中によく入ってきます。2泊ともひなびた温泉旅館に泊まったので夜は「カメムシとの闘い」。一番の悲劇は私がうっかりカメムシを踏んでしまったこと。水で洗ってもなかなか「あの臭い」がとれませんでした…。

当初「カメムシがいる、どうしたらいいの!?」とオロオロしていた友人達が、旅の終わりには黙々とガムテープでカメムシを取るまでになりました。人は状況に合わせ、たくましくなっていくのですね。(宮原)

翌朝は『村を守る不思議な神様2』で私が「皆瀬川式道祖神」と呼んだ皆瀬川流域のニンギョウサマを巡りました。ここは「ニンギョウサマ女子」の宮原さんが熱く解説します。

兜の三つ編みのような箇所が垂れてしまっていたので、お声を掛けて持ち上げさせていただきました。(宮原)

ニンギョウサマの後は横手市増田の内蔵を見学。家主さんから丁寧な説明を受け、蔵の各所に見られる匠の技を堪能。見ごろは過ぎたものの、紅葉もとても綺麗でした。

美郷町から角館へのルートは人形道祖神ファンにとっては「オニョサマ」街道です。もちろん小曽野のオニョサマにも立ち寄りました。角館は車でサクサクっとピンポイント解説。

お昼は『村を守る不思議な神様』にも登場していただいた仙北市桧木内の星雪館さんで。なんとこの日は年に一度の「餅バイキング」が開催されていました。お餅(16種類※)と漬物、お惣菜が食べ放題!秋田の豊かな土地の恵みを堪能しました。
※ きなこ、納豆、ほうれん草、栗あん、くるみあん、梅、ゴマ、大根おろし、あんこ、ずんだ等

同バイキングを企画した星雪館の門脇富士美さんによると「母のレシピを受け継いでいきたいが、普段は慌ただしく、母の作り方をゆっくり見ることは難しい。そこでこうしたイベントを開催し、母から色々教わるようにしています。」とのことでした。(宮原)

星雪館さんでランチを食べた後は、一か月前に作り替えられたばかりの吉田のワラニンギョウへ。何といってもこのワラニンギョウは宮原さんの「かわいい道祖神ランキング」で常に上位入り。解説にも熱が入ります。

田沢湖や「中里の塞ノ神」などを見た後、北秋田市阿仁へ。阿仁には人形道祖神がいらっしゃらないので宮原さんは未体験ゾーン。私は『秋田県の遊廓跡を歩く』の取材などで何度か来ております。久しぶりに鉱山跡や遊廓跡などを案内しながら巡りました。

「この近くに最近古本屋ができたはず。行ってみませんか」と小松さん。阿仁合駅周辺に行くのは初めて。日が暮れ、気温も下がり、周囲はどんどんさみしい雰囲気になっていきます。この何とも言えないノスタルジー感は、私の心に強く刻まれました。(宮原)

そして、この日の宿泊先となる秘湯の宿へ。この旅のメインは最終日です。(続く)

【ラジオ出演情報】11月29日(金)、FM秋田さんの「 あきたはいうえい人街ネット 」(12:50~13:00)に秋田人形道祖神プロジェクトが出演する予定です。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft