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書籍のご紹介「なまはげだけが秋田じゃない」秋田ブックフェア in 代官山蔦屋書店

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

現在、代官山 蔦屋書店の1号館1F「人文フロア 歴史・日本文化コーナー」にて開催中の『村を守る不思議な神様』のブックフェア。担当のIさんに揃えていただいた書籍を、小松さんの解説ポップと共にご紹介いたします。

「もやし屋―秋田今野商店の100年」
近年、再評価されている発酵文化。発酵の元となる「種麹」を生産し、全国の醸造所に販売している会社があります。秋田県が生んだ世界的酵母企業のストーリー。 (小松)

秋田県大仙市刈和野にある「秋田今野商店」。同社のHPによると「酒・味噌・醤油・焼酎に代表される日本の発酵食品の要である麹の種菌のことを『もやし』と呼ぶ」そうです。全国に優秀な「菌」を提供する日本有数のメーカーとのこと。そんなすごい会社が秋田にありました。(宮原)

「謎のアジア納豆: そして帰ってきた〈日本納豆〉」
納豆のルーツを求めて、ミャンマーから秋田県横手市へ。なぜかここに「納豆発祥の地」の石碑があるのです。何か国語も操る高野さんがなんと秋田弁に大苦戦。(小松)

「美酒復権」
「米の秋田は酒の国」と言われる通り、秋田には美味しい日本酒の宝庫。この本に登場する福禄寿酒造(一白水成)さんでは昨年人形道祖神のイベントを開催しました。(小松)

日本酒の需要が厳しくなっていく中、5つの蔵元の跡取りが秋田に帰郷し、立て直していく物語。秋田の日本酒は美味しいです。とてもフルーティー。私はアルコールに弱くあまり飲めないのですが、人形道祖神のお祭りの際に日本酒がよく振る舞われ、少しずつ飲めるようになりました。(宮原)

「ふしぎの国のバード」
イザベラバードの「日本奥地紀行」が漫画化!6巻は秋田編。原作ではつかみどころのない不思議キャラで描かれている通訳兼ガイドの伊藤がクールなイケメン青年に。(小松)

「日本奥地紀行」
明治初期、東京から北海道へと旅したイギリス人女性・イザベラバード。秋田では農村の貧しい人々、結婚式やお祭りなどを詳細に記録しています。150年前の秋田の様子が蘇ります。(小松)

イザベラバードが中継地で宿泊しながら旅を進めていくのですが、道中に登場する人々の貧しさ、奇妙な信仰などが印象的で、1巻からじわじわハマっていきました。今では知ることができない当時の日本の姿。他県のカシマサマが登場しますよ。(宮原)

「おらが村」
秋田県西成瀬村(現・横手市)出身の漫画家・矢口高雄が高度経済成長期の農村の様子をリアルに描く作品。この時代は人形道祖神にとっても受難の時期でした。(小松)

私が今ドハマり中の、矢口高雄さんの漫画。
道祖神取材でおじいさんやおばあさんにインタビューしていると、当時働き盛りのお話がよく出てきます。私にとっては朝ドラ「おしん」のような遠い知らない世界でイメージが難しく困っていました。「おらが村」はちょうどその頃のお話。「出稼ぎ」「村での暮らし方、考え方」などが詳しく描かれています。
また同じ矢口さんの漫画「マタギ」も揃えていただいたのですが、とても人気で売り切れでした。何度入荷してもすぐ売り切れてしまうそう。読みたい・・・!(宮原)

「マタギ」
「釣りキチ三平」で知られる矢口高雄がマタギを描いた傑作。矢口の故郷である狙半内地域では「鹿島大神」の文字を刻んだ石碑を村境に立てる風習があります。(小松)

「友川カズキ独白録: 生きてるって言ってみろ」
秋田県が生んだ鬼才のシンガーソングライター・友川カズキ。秋田弁で歌われる怒涛のライブは唯一無二の表現世界です。(小松)

「縄文美術館」
『村を守る不思議な神様2』の宮原コラム「秋田の縄文土偶」で紹介した「笑う岩偶」、「縄文のザク」、「小さな宇宙人」などの写真が掲載されています。(小松)

「大型写真集「木村伊兵衛写真全集昭和時代〈第4巻〉秋田民俗」」
秋田県の観光ポスターにもなった「秋田美人」の写真を収録。現在ほとんど見られなくなった秋田の原風景が記録されております。人形道祖神の写真も一点あり。(小松)

横手にあるカシマサマの写真がありました。今では隣に立派な校舎が建ち、神様の横を流れる小さな小川がきれいに整備されてしまい、風景は一変。当時はとてものどかな場所にいらっしゃったことがわかります。(宮原)

左上段から
「平田篤胤」
ナショナリズムからオカルトまで賛否両論なんでもござれの国学者・平田篤胤。『村を守る不思議な神様』にも少し登場します。生誕と終焉の地は小松の家のご町内。(小松)

「漫画大全集85・86・87」
水木しげるが平田篤胤を描く『神秘家列伝』収録。篤胤は県民歌に登場するほど秋田県人にとって馴染み深い人物ですが、何をした人なのかは意外に知られていません。(小松)

下段中央
「『学力日本一!』秋田県東成瀬村のすごい学習法」
秋田県には「子供の学力日本一」の村があります。優秀な子を育てる秘訣は独特の学習法にあると考察した本。この村には石で作られたカシマサマも祀られています。(小松)

「野生めぐり: 列島神話の源流に触れる12の旅」
写真家の田附勝さん、文化人類学者の石倉敏明さんが秋田の人形道祖神を含む日本各地の民間信仰を訪ね歩いたルポタージュ。精神文化の深層に迫る「俺たちの旅」。(小松)

「日本美の再発見」
昭和初期に来日したドイツ人建築家・ブルーノ・タウト。滞在中に旅した秋田では伝統的な建築や農村の風景を絶賛しています。外国人の眼で再発見した秋田の美。(小松)

「山怪 山人が語る不思議な話」
秋田の内陸山間部、阿仁地方では狩猟を主な生業とする「マタギ」の人々が古くから住んでいます。彼らが見た不思議な体験談が収録されています。(小松)

また「イラスト」つながりで私が担当させていただいた装画の書籍も揃えていただきました。先月発売の「セミオトコ」も入荷の手続きをしていただいたそうですが、最新刊&人気の為なかなか入ってこないそうです。残念。


「あなたへの歌」
中国出身のヒロインが様々な曲折を経て、日本人の夫へ抱く思いを表現しました。舞台となった中国の風光明媚な景色や、お湯を入れると花が咲く工芸茶など、小説の中でイメージが浮かんだモチーフを周囲に散りばめ、小説の世界をふんわりと感じてもらえるようにしました。(宮原)

「世話を焼かない四人の女」
年齢や風貌がバラバラの4人の女たち。「同じ空間に居る4人が、各々の世界に耽るイメージ」を実現するため、彼女達の個性を描き分けることに注力。当初はより自由に動く4人像をイメ―ジしましたが最終的に同装画で落ち着きました。裏にはキーマンである、水玉好きのイケメンをしのばせています。(宮原)

「千の輝く太陽」
1960~2000年代のアフガニスタンが舞台。宗教や戦争、女性蔑視や暴力の中を生き抜く2人のヒロインを、漆黒の背景から浮かび上がるように描きました。ヒロインたちの希望や生きようとする強さを「光」で表現。普段イラストを描く際はゲラを読み、客観的に構想を進めていきますが、同本ではヒロインたちへの感情が抑えきれず苦労しました。(宮原)

「ナタリー」
最愛の夫を突然亡くし、大きな喪失感に襲われるヒロインをイメージ。科学実験のように思える不思議な恋愛小説ということで、本文中に登場する印象的なモチーフを選び描きました。「フランス」「女子的」を色でも表現したく、ピンクを基調にポップな配色を選びました。(宮原)

秋田のイメージを覆してくれそうな個性的な書籍たち。
「なまはげだけが秋田じゃない。人形道祖神の世界」ブックフェアは11月30日まで。秋田県人が美味しいと言う「ニンギョウのいぶりがっこ」や「おにょさまはちみつ」、「じゅんさい」アクセサリーや人形道祖神Tシャツなど、アート且つユニークなグッズも取り揃えております。是非、お気軽にお立ち寄りくださいませ。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara