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名古屋市立大学様でレクチャートークを行いました

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 すっかり冷えこんできましたが、いかがお過ごしでしょうか。
 先日の10月17日、久々に県外でゲストスピーカーを務めてまいりましたので、その様子をレポートます。

【 目次 】
◆ お話をいただいたきっかけ
◆ レクチャーの方向について
◆ レクチャーの詳細
◆ 学生の皆さんからのフィードバック ~嬉しくてたくさんご紹介
◆ おまけ ~ナマハゲTシャツが・・・!

きっかけ

 今年8月、名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科の佐藤 美弥(よしひろ)准教授から次のようなご依頼を頂きました。

「(大学では)『地域連携参加型学習』という授業があります。主に1年生が地域の課題をみつけて解決策を考えるというようなプロジェクト型の授業です。私が担当するクラスでは、地域の文化財の保存・活用をテーマに、名古屋城の魅力の発信という課題を予定しています。

 小松さんと宮原さんの人形道祖神のプロジェクトは、民俗文化財をアートと結びつけてその魅力をひろく伝えることに成功したケースではと考えています。
 人形道祖神についてはもちろん、プロジェクトの企画や展開などについてお話しくださればと思っております。
 名古屋城は史跡ですが、お話しを伺うことで学生にとって非常に参考になるのではと考えたところです。」

 佐藤准教授はもともと秋田のご出身で、小松さんと10年来のお付き合いがあります。以前「『村を守る不思議な神様2』刊行記念 宮原葉月原画展」(かもめブックス 2019)や「スライド&トークショー『秋田人形道祖神めぐり・グレイテストヒッツ』」(代官山蔦屋書店 2019)へわざわざお越しくださいました。小松さんのお店でお話しさせていただいたこともあります。そんな佐藤准教授のご依頼でしたので、レクチャーのお話を喜んでお引き受けしました。

レクチャーの方向

 小松さんの担当は「人形道祖神とANPの活動概要について」と早々に決定。私はどのお話をしたらよいか迷い、佐藤准教授にご相談しました。2021年に福島県立博物館で発表した「末野のショウキサマづくりのリーダーを通じてみえてきたこと(10分)」、同年に京都市立芸術大学で講演した「イラストレーターが村の伝統行事をリサーチし、美術館展示等へつなげた事例(40分)」のスライドをご覧いただいたところ、「これを学生にみてもらいたい」と佐藤准教授。両者をバージョンアップし前半後半でわける内容に決定しました。
 佐藤准教授曰く「学生たちは歴史学や民俗学の専門家ではなく、また1年生の子が多い。これから色々な専門分野を勉強していこうとしている。だから宮原さんのように専門家ではない人が、文化財のようなものにどうやって関わってこれたのか、参考になるのではないか」とのことでした。

今年2022年7月に岩崎・末広町のコダマさんに1対1でインタビューさせていただいた様子。コダマさんから「もう聞くことなんてないんじゃない?」と言われましたが、まだまだたくさんあります!実際にこのときのインタビューでは知らなかったことを多々お話しくださったり、さらに興味深いことが次々現れてきたり。リサーチに終わりはないことを痛感いたしました

 人形道祖神について、私はこれまで「伝統行事に興味がない方にも興味を持っていただきたい」ということを最大の目標にやってきました。カラフルな道祖神画を描いたり、絵とリサーチを織り交ぜたハイブリッドな表現をやってみるなど、「普通」の視点を大事に、自分なりの方法を見つけてリサーチを行ってきました。(その様子はこちら)佐藤准教授にそのように言っていただけたので、これまでの挑戦がお役に立てることを知り、やってきてよかったと改めて思いました。

レクチャーの内容

 前半30分は小松さんが担当しました。人形道祖神や来訪神について、また菅江真澄や扉の写真にある小掛や末野集落で行われる伝統行事について説明。今回のレクチャーで小松さんは、「名古屋は秋田と馴染みがない地域なので、似ている文化があることを伝えて親しみを持ってもらいたい」と考えたそうです。愛知の虫送りの行事(サネモリサマ)や猩々(しょうじょう)が練り歩く行事のお話が加わりました。

 貴重な動画が盛りだくさんの内容。学生の皆さんには、人形道祖神のイメージがしっかり伝わったのではないでしょうか。
 そして後半40分は私がお話しさせていただきました。

 前半は、私が尊敬してやまない末野のショウキサマづくりのリーダー・サイトウさんを5年間取材させていただいた話がメインです。サイトウさんの言葉をたくさん記録し、ときに集落の皆様の声もお聞きしていると、大切なことがみえてきます。

 後半では、ANPでの分担体制や、実際に集落に入りリサーチする様子、最後にリサーチを美術館展示へ活用した事例をお話しいたしました。

 上記は、ANPがこれまで多くの方に支えていただきながら結果を残せた理由について述べた箇所です。佐藤准教授のお言葉を借りれば「小松さんのリサーチの深さと、宮原さんの表現の広さとがうまく連携できたので、今に至るのだと思う」。確かに、どちらかが欠けていたらとても難しかったと思います。

 さらに「アートとデザインのコラボ」の影響力も見逃せない旨をお伝えしました。デザイン会社neccoさんに作っていただいた道祖神公式サイトや、ブックデザインのtobufuneさんが担当してくださった書籍のデザインがあったからこそ、私たちの活動は大きく成長できました。佐藤准教授もこの部分に注目してくださり、「デザインとアートのコラボという話があったが、文化財をどうやってアートやデザインと結びつけるのか、こちらも参考になったのでは」

 活動を開始した当初、勢いでプロダクトを作りましたが(デザインはneccoさん)、実はこれが結構な影響力があることを後から気づきました。絵がきっかけで人形道祖神に興味を持ってくださることが多々あったのです。

 そして実際に集落に入り、リサーチを行った事例をご紹介。非専門家でも可能なリサーチ方法があること、またそれを実践していけば、ときに素朴な疑問が長老の大切な考え方につながる数々のエピソードについてをお話ししました。
 最後に、リサーチしたものをどのように活用していったのか、2年前に秋田県立近代美術館で行われた展示に参加した際に出品した作品を事例としてご紹介。

 リサーチしたものをどのように展示として展開していったのか。集めた証言や史実をみつめながら、このときは表現者として、それぞれ空間と時間軸が異なる2つのストーリーを並列させ、最後に重ねることを考えました。「生きているショウキサマ」と「失われたショウキサマ」の対比をゆっくりみつめてみたい、という思いがリサーチを通じて強くなったからです。(展示の一部は書籍『村を守る不思議な神様・永久保存版』内の『幻の泥塑天子を探して』章でお読みいただけます)

 こうして、質疑応答を含めた90分のレクチャーが無事終了しました。リモートでは皆さんの様子がよくわからず、わかりにくかったかな?面白くなかったかな?など気になりましたが、佐藤准教授から「秋田人形道祖神の具体的な事例に基づくレクチャーを見て、大変勉強になった。やはり人形道祖神の民俗は面白い」「zoomごしだと学生の反応もわかりづらかったかと思うが、それぞれ今後の授業へのてがかりをつかんだのでは」という言葉をいただいたので、ほっといたしました。

学生の皆さんからのフィードバック

撮影:佐藤准教授

 佐藤准教授から学生の皆さんのレポートが届きました。「やはりお2人の人形道祖神への愛のようなところに、大変感銘を受けたように思われます。とてもよかったと思います」と佐藤准教授。
 皆さんからのレポートを読むととても嬉しくなりました。要約をさせていただきご紹介いたします。
↓↓↓↓↓

「今後調査を行う場合は、ネットや本で調べるだけでなく、現地の方に直接お話を伺うことが大事だと思った」

「文化財のことを広く知ってもらうためには、それを見に来る人達はどんな理由でやってくるのか、何を知りたいのか、などを考えることも必要だと思う」

「スライドで様々な伝統行事が紹介されたが、こうした伝統行事は意外と身近な場所でも行われているのではと思った。こじんまりした祭りも、大きくて有名な祭りも、同じだと思う」

「疑問に思ったことを積極的に質問することで、意図せずして大切な情報が得られることを学んだ。相手との対話を円滑にするために、事前に稲作のスケジュールなどの知識を準備したこと、リサーチのとっかかりを作ることも大事だと思った」

「リサーチにも情熱が大事で、これから行う名古屋城のリサーチにおける大切なヒントになると思った」

「2人は人形道祖神についてとても楽しそうに話していた。少しでも興味がわいたら積極的に調べてみることが大事だと思った」

「2人から道祖神が好きということが伝わってきた。名古屋城でのリサーチにおいても、名古屋城に対する自分の『好き』を見つけたいと思った」

「わからないことはとにかく聞く、ことを大事にすると、その人の本音や考えに触れることができる、自分の疑問は実はみんなが知りたいことである、などを学んだ」

「愛知の猩々など、地元の身近な伝統行事を知ることができた」

「専門家でなくても、好奇心を持ち、調べていく大切さを学んだ。そうするとその対象の面白さや魅力を理解することができ、そして自分でも魅力を伝えていくことができることを知った」

「名古屋城の魅力を考えようとすると一見とても難しそうだが、まずは自分が興味を持ったことから名古屋城について調べるのがいいのではと思った。素朴な疑問から始めると、調査する方向がみえてくると思う」

「2人の人形道祖神に対する情熱が印象的だった」

「愛知県出身の菅江真澄のことを知らなかった。しかし秋田ではよく知られていることが印象的だった」

「専門家でなくても、自分が興味を持ったことを調べていけば、対象を理解することができるし、その魅力を発信できることを学んだ。名古屋城でのリサーチでも是非活用したい」

「レクチャーを聞き、文献を調べることも大切だと改めて思った。また自分が面白いと思ったことを調べてみたり、名古屋城に関わる人々の声を聞き、その人の本音や考え方にも触れてみたいと思った」

「小松さんや宮原さんのような、様々なリサーチの方法があることを学んだ。名古屋城のリサーチでも多様なアプローチがあると思う」

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 ご紹介させていただいたのはほんの一部だけですが、みなさんが真剣に聞いてくださったことが強く伝わってきます。そして早速名古屋城の調査&イベント企画に取り入れようとされていて、皆さんの意気込みに感動しました。この度は大変貴重な機会をご一緒させていただき、ありがとうございました!

付記

 私たちがゲストスピーカーとしてお話ししている際、なんと佐藤准教授が「ナマハゲTシャツ」を着てくださっていました。黒いジャケットと合わせられていて、とても嬉しかったです。ありがとうございました!

 ナマハゲTシャツといえば、バナナマンの日村勇紀さんが生田斗真さんと旅をする番組「ふたりっきり旅 ゴールデンSP」(テレビ朝日系で10月26日に放送)の中で登場しました。秋田空港のおみやげ広場「あえーる」で販売されているTシャツを、日村さんと生田さんがご友人の中村倫也さんへのお土産として、ご購入いただいたのです。ありがとうございました。ちなみに番組ではお2人がお多福のきりたんぽを食べていましたが、その様子を画面越しにみていると、口の中が比内地鶏のスープと芹の香りで一杯になりました。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara