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にかほ市のサイノカミ行事を取材しました(5)

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

⑤横岡の鳥追い行事(1月15日)

1月15日の夕方から、横岡のサイノカミ(サエノカミ、塞ノ神)行事「鳥追い」が行われます。集会所には6名の小学生と3名の中学生が集まり、午後4時から 「唄の練習」 が始まりました。

佐藤輝一さんの指導で「塞ノ神の唄」、「餅貰いの唄」、「鳥追いの唄」を練習します。最初はなかなか遊んで集中できなかった子供たちも、佐藤さんの絶妙な指導でだんだん声が合って乗ってきました。「塞ノ神の唄」は歌詞も面白く、私たちも一緒に唄っているうちに覚えました。いずれはANPの十八番としてイベントの時にでも余興で披露したいです。

外は雪が降り積もってきました。唄の練習後、佐藤さんから横岡の歴史などについて詳しく教えて頂きました。その中で、「サイノカミの御神体がある」という興味深い話を聞き、行ってみることに。

集落から300メートル位離れた場所にある高さ60センチほどの自然石がサイノカミのご神体です。 サイノカミは斎藤太助家の氏神 。朝に小屋焼きが行われた場所にある 4カ所のサイノカミはこれを分祀したのだとか。以前の「小屋焼き」ではこの場所で斎藤家の当主がワラに火をつけるのを見て一斉に各町内の小屋に火をつけたそうです。

午後4時から一番鳥と呼ばれる巡行がスタート。4カ所のサイノカミ小屋があった場所をそれぞれ左回りに3回周りながら「塞ノ神の唄」を唄います。

午後5時半からはこの日のクライマックス「二番鳥」がスタート。子供たちが「餅貰いの唄」を唄いながら集落のほぼ全戸を巡ります。各家々では餅やお菓子、袋麵などを用意して子供たちに手渡します。

「鳥追いは子供達にとって大変な試練。途中で抜けたくとも抜けられないんです。」 と佐藤さん。雪が降り積もる夜、村中の家々を巡るのは大変です。 宮原さんは2時間過ぎたあたりから「そろそろ限界です…」とお疲れの様子。

そんな中、 ご紹介をいただき サイノカミを氏神として祭る斎藤家を訪ねました。お座敷に上がらせていただきました。そこにあったのは・・・

「道祖神社」と書かれた掛軸!私と宮原さんは「ここに来て良かった!」と感激しました。

午後8時に「二番鳥」は終了。小学生は帰り、中学生は会館に泊まる準備をします。「三番鳥」は翌朝の5時から中学生だけで行われるそうです。

当初「人形道祖神研究の参考に」と思ってリサーチしたにかほ市のサイノカミ行事。取材させていただくたびに驚きや感動があり、参考程度ではなく、本気に調べてみたいと思う事ばかりでした。詳しいレポートは改めて発表したいと思っています。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft