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森の妖精現る!吉田のワラニンギョウを取材しました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

今年の6月、7月はほぼ毎週のように人形道祖神の取材に出かけていましたが、それ以降はイベント等のアウトプット活動がメイン。「充実しているけど最近なんかもの足りない」と私と宮原が思い始めたこの頃、いよいよ待ちに待った人形道祖神の秋の作り替えシーズンが始まりました。なんといってもANP(秋田人形道祖神プロジェクト)の生きがいは道祖神を作り替える際に取材させてもらうことなのです。

10月27日(日)、仙北市西木桧木内の「吉田のワラニンギョウ」を取材いたしました。こちらの神様は第一作目の『村を守る不思議な神様』でも紹介させてもらいました。ANPのスライド&トークイベントの名物コーナー 「宮原が選ぶかわいい人形道祖神ランキング」 ではいつも上位にランキングされています。作り替えを取材させていただくのは今回が初めて。出発した時からテンションは最高潮です!

ニンギョウの芯と手に持っている長刀は鉄パイプでできています。

吉田のワラニンギョウの作り替えは「人形立て」と呼ばれ、毎年10月後半に行われます。始まったのはお昼過ぎから。古いワラを取り除くと中から鉄製の骨組みが露わに。「昔は木で骨組みを作っていたけど、こうすれば倒れないと地元の建設会社の方が作ってくれたんだよ」覆屋や立てかかる木もない場所でニンギョウが一年間も立っていられるのは、こんな工夫があったんですね。

「ぐみっこ」を編んでいる女性陣。

女性の皆さんがおさげのような縄を編んでいたので何かと聞いてみると、「ぐみっこだよ」と笑われました。「ぐみっこ」とは秋田弁で三つ編みのこと。こちらのニンギョウは男性(立派な男根も付いている)なので、どうして三つ編みを付けるのだろうと思っていたら、頭に載せる兜の角の部分でした。

完成に近づくワラニンギョウ。

吉田の皆さんはとにかく仕事が早い!なんと開始から1時間過ぎたころにはほぼ完成していました。俵で出来た頭が据え付けられると宮原さんは「きゃ~♡かわいいランキング一位決定です!」と興奮していました。

ニンギョウの目玉はなんと葉っぱ。この状態で見られるのは雪が降るまで。

完成したワラニンギョウは宮原さん曰く「北欧から来た森の妖精のよう」たしかに他の地域の人形道祖神にはない佇まいです。姿形は「昔から変わらない」とのこと。こんなキュートな神様に守られている村が秋田県にはあるのです。

「人形立て」に参加された吉田の皆さん。

久々の取材は最後まで驚きと感動の連続でした。小林町内会長、浅利副会長をはじめ、吉田集落の皆様、本当にありがとうございました!

この日はテレビ局が取材に同行していました。年内に放映される予定ですが、詳しい日時は追ってこのブログでお知らせします。今回はなんと全国放送!県外でも(もしかしたら海外でも)ご覧いただけますので、ぜひご期待ください。

代官山蔦屋書店でのブックフェアも絶賛開催中です!11月10日のスライド&トークイベントまで、いよいよ2週間を切りました。今回は特別編としてこのブログでも公開していない取材の内容を蔵出ししますので、ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください!

イベントの詳細とお申し込みはこちらから。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft