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代官山蔦屋書店スライド&トークショー「秋田人形道祖神めぐりグレイテストヒッツ」 内容のご紹介 その1

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 「こんな神様がまだ秋田にいらっしゃったとは・・・!」
取材帰りの車の中、私たちはあまりにも大きな衝撃を受け、口数がいつもより少なくなりました。

 今年の夏、秋田県横手市十文字町の下堀(しもぼり)という集落で取材させていただきました。「下堀」といっても、秋田市在住の方はまず「下堀?どこにあるの?」と尋ねてくるような、知る人ぞ知るディープな場所です。
 「下堀にたった2日間しか立てない神様がいるらしい」と小松さんが執念で調べ上げてくれましたが、1年間に1回の作り替えが行われ、その日にちまではわかりませんでした。
 何度か同地に足を運び、遂に作り替えの「宿(=担当)」の方と出会え、開催日を教えていただくことができました。ちなみに今年は7月上旬でした。

 取材のアポイントを取り、現地に伺うとたくさんの集落の男性が集まっていました。女性の姿は見当たらず、唯一の女である私は少し緊張しました。
 村の方々が神様の体のパーツを銘銘に作り始め、私たちはお邪魔にならないようにし、ときに「これはどのパーツでしょうか?」と尋ねました。
 さらには、下堀の集落には過去の災害を逃れてきた独特の歴史がありました。そのあたりのお話も早速小松さんが聞き込みします。

 下堀のカシマサマは、女性でした!
胸やお尻は、女性ならではのふくらみが表現されています。また造形的に「手」の作り方が大変独特でした。

 この日は作るだけ。2日後に立派に作られた神様を壊してしまうのだといいます。
「たった2日間しかないのに、これほど立派に作ってしまうと勿体ないと思いませんか?」と男性に尋ねてみたところ、「悪いものを祓ってくれるのだから、作らないといけない」とのこと。これこそが、私たちがハマった「人形道祖神」の奥深い面白さだと思いました。

 2日後、私たちは再び下堀集落を訪れました。カシマサマの最後の勇姿をみるためです。
「神様を壊す場所にはツツガムシがいるから長靴を履いてきて」と男性からアドバイスをもらったので、準備してきました。

 実際は軽トラから降りることはなかったので大丈夫でしたが、それにしても、予想を超えた大河ドラマのようなダイナミックでノスタルジーを感じる儀式には心底驚きました。
 「こんな儀式がまだ日本にあったの!?」と衝撃を受けた私たちは黙ってしまいます。
街灯もなく真っ暗な川べりを軽トラに揺られながら、私は衝動に突かれ泣きそうになりました。

 詳細は11月10日のスライド&トークイベントにてご紹介します。いよいよ今週に迫りました。今回は初出しの取材内容を蔵出ししますので、ぜひお誘いあわせの上、ご参加ください。
イベントの詳細とお申し込みはこちらから。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara