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福島県立博物館の人形道祖神コレクションが一挙公開!秋田のあの神様も登場

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 10月9日より福島県立博物館(福島県会津若松市)にて企画展「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」が始まりました。
【目次】
<1>福島の個性的な人形道祖神!
<2>出品される秋田の人形道祖神
<3>メインビジュアルはANPが担当
<4>ANPによるスライド&トークショーも開催!
<5>アクセス

福島の個性的な人形道祖神!

 人形道祖神は秋田県の他に岩手県(※)や新潟県、福島県など東日本において局地的に存在します。※岩手県和賀郡西和賀へ越境取材した際のブログはこちら

 昨年たまたま福島を訪れる機会があり、田村市にある3体 (屋形・朴橋・堀越) の「お人形様」を見に行きました。秋田の人形道祖神とはまた異なる造形が興味深く、その理由や作り手の方の思いを知りたい、と好奇心を掻き立てられました。

朴橋 (ほおのきばし)のお人形様
ちなみにJR磐越東線の船引駅にミニチュア版のお人形様があります。毎年夏に作り替えが行われるそう

 とりわけ耳や手、刀のツバに使われる渦状の編み方が独特でした。秋田でいうところの「サンダワラ」の使い方に近い?

 機会があれば、お人形様や他のワラ人形の作り替えを取材させていただけたら・・・と思っていた矢先、福島県立博物館(以下、福島県博)の主任学芸員の大里さんから、「『ふくしま 藁の文化』と題して、当館の東北6県+新潟・栃木・千葉・茨城に及ぶ藁人形コレクションを一堂に会して展示を行うので、情報交換など展示協力をお願いしたい」とお声を掛けてくださいました。喜んでお引き受けいたしました。
 ちなみに大里さんは過去に私たちが初めて開催したスライドトークショー「ARTS & ROUTES~あわいをたどる旅」展へ足を運んでくださったそうです。(遠いところから2回も・・・と大感激しました。ありがとうございました!)

 

出品される秋田の人形道祖神

新明岱常会のジンジョサマ(2020年撮影)

 福島県博に収蔵されている秋田の人形道祖神、「山田のジンジョサマ」と「末野のショウキサマ」。展示にあたり、7月に大里さん方々が調査のため秋田へ来られました。
 最初に男女8ペア合計16体のジンジョサマがある大館市山田集落へ。この調査によって、約35年前に福島県博に収蔵されたジンジョサマは『前田』常会のものをモデルとしたことが判明。山田集落には8常会(=町内会)あるので、ジンジョサマのお顔やスタイルにバリエーションがあるのです。

末野のショウキサマ。2020年に角川武蔵野ミュージアムへ収蔵されました

 翌日は末野のショウキサマ作りを調査され、なんと毎年恒例の「鹿島人形コンテスト」の審査員を大里さんが務めてくださいました。

審査員を務めてくださる大里さん。ありがとうございました!

 また末野の皆さんの計らいで、この日集められた鹿島人形と鹿島船が福島県博に収蔵されることになりました。大里さんの車で運ばれていったそうですよ。展示が楽しみですね。

メインビジュアルはANPが担当

 そして大変光栄にも、企画展のメインビジュアルの制作をご依頼いただきました。大里さん曰く「今回のメインは初めて展示する『柳津(やないづ)町胄中(かぶちゅう)のニンギョウマンギョウ』行事のワラ人形。いつもは男女に見立てたワラ人形を燃やしてしまうので残らないが、今回特別に作ってもらったのでそちらをポップに力強く表現してほしい」とオーダーをいただきました。

 実物のワラ人形は見たことがなかったので、大里さんから頂いた写真やアドバイスを大いに参考にさせてもらい、道祖神愛を込めて「男」を一体描き上げました。「女」や屋形のお人形様も描きたかったのですが新刊の制作時期と重なってしまい、「男」に集中させていただくことになりました。

大里さん撮影(2015年)

 現在ワラ人形のお顔には今風の鬼の顔が描かれますが、以前は地元の方が描いた恐ろしいお顔だったそう(上記写真)。今回描き起こす際、後者の迫力あるお顔からインスピレーションを得ました。

 メインビジュアルとして描かせていただいた作品は、この度福島県博に収蔵されました。展示では原画もご覧いただけます。

スライド&トークショーも開催!

 企画展「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」では様々な実演やイベント、講演会が予定されています。私たちは11月3日(祝)に講演「神と人とをつなぐ藁の文化」を担当させていただきます。主な内容は、いつも好評いただいているスライドトークショーで末野と山田集落の人形道祖神をメインにお話しいたします。未公開のエピソードをたっぷりご覧いただきたく。後半に大里さんとANPの3名でトークセッションを予定。

アクセス

 福島県立博物館がある会津若松市は、福島県の中央に位置する猪苗代湖の西側にあります。江戸時代に会津藩の城下町として栄えました。個人的な印象として、鶴ヶ城やさざえ堂、古き街並みがあり情趣ある雰囲気でした。ちなみに赤く塗られた可愛らしい「あかべこ」は、会津地方で生まれた郷土玩具です。
 東京や仙台から福島県博の最寄り駅・JR会津若松駅へのアクセスはこちらからどうぞ。
◆東京駅から新幹線で向かう場合
東北新幹線やまびこや山形新幹線で郡山駅へ向かい、JR磐越西線に乗り替え。移動時間はおよそ3時間。
◆秋田駅から新幹線で向かう場合
秋田新幹線で仙台駅に到着後、東北新幹線のやまびこに乗り換え郡山駅へ。郡山からJR 磐越西線に乗り換え会津若松駅へ 。移動時間はおよそ5時間。

 福島には源泉掛け流しの名湯が多く、また会津の北部には喜多方ラーメン発祥の地があります。人形道祖神巡りも兼ねて、ゆるり福島観光の旅なぞいかがでしょうか。

 

集結した人形道祖神の凄さ、是非お楽しみください!

「ふくしま 藁の文化~わらって、すげぇんだがら~」

期間 /令和3年10月9日(土)~12月19日(日)
会場 /福島県立博物館 企画展示室
〒965-0807 福島県会津若松市城東町1-25
料金 /一般・大学生 800円(20名以上の団体:640円)、高校生以下無料
休館日 / 毎週月曜日
開館時間 /9:30~17:00(入場は16:30まで)
ANP講演会 /11月3日(祝)13:30~15:00、申込不要・無料
主催 /福島県立博物館

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara