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<前編>ANP初の越境取材は神がかり的なハプニングで大変!岩手の西和賀へ

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

ある日「今年は岩手県西和賀町にあるショウキサマを取材しましょう。初めての越境取材です」と小松さん。秋田以外の人形道祖神を一度はみてみたかった私は「やったー!」と大喜びしました。

今回取材させていただくのは西和賀町左草(さそう)の人形送り。岩手といっても、秋田との県境から車で20分の場所にあります。

西和賀は秋田市に比べて雪深いです。山からヒュージューと吹き付ける風が冷たい。

朝8時から村の集会場で人形の作り替えが行われました。ブルーシートの上で「頭」「手と足」「男根」「裃(かみしも)」「腰巻」「縄」を作るチームが各々作業をされています。各チームのみなさまに作られているものをひとつひとつ、教えていただきました。

「どこから来たの?」とおじさまに尋ねられ「秋田から来ました!」「遠いところからわざわざ・・・」と驚いていただいたり、 途中新聞の取材の方がいらして「秋田魁新報の方かも」と思いましたが「岩手日報」の方だったりし「ここは岩手だった」と改めて越境したことを認識しました 。
また秋田の作り替えとの違いがありとても興味深いです。

立派な男根を作られたおじいさんを撮影させていただきました。こちらの男根は秋田の県南と県北の作り方をミックスしたような感じでした。
また一人の若い女性が丁寧に縄を編んでいく姿が印象的でした。

男女のショウキサマが完成すると、机に立てかけられます。集落のみなさんが集まってきて、小さなお餅を神様に掛けたり、全員で記念撮影をされていました。

そして、いよいよ村境に神様をお連れする「左草人形送り」が行われます。

約1~2kmをみなさんで歩きます。それにしても風が冷たい!

ショウキサマが木に括り付けられました。

お餅をおすそ分けしていただきました。一度湯がかれ味付けはされていません。二人でパクっ・・・「??」
古い蔵のような香りがしました。何とも言えぬ不思議なお味。昔はそば粉で作られていたそうです。

この後、集会場で直会が行われます。「左草人形送り」が行われている間に、集会場に集まった女性の皆さんが作ったおにぎりを頂きました。お米と海苔だけのシンプルなお味。そして「(大根の)一本漬け」や「たくわん」、赤かぶの酢漬けも頂きました。

秋田県湯沢市のご出身で西和賀に嫁がれた80代のキミコさんとお話しする機会がありました。「私の旧姓も『宮原』と言うんだよ、これも何かのご縁だからお話しましょう」と言ってくださいました。キミコさんから、同地へ嫁いでから子育て等が大変だったお話、最近では新幹線で間違った車両に乗ってしまい大慌てしたお話(※1)など伺いました。現在は同集落の女性7名で廃校を利用し「納豆汁(※2)の素」を作っており、明日は30箱を作らなくっちゃ、と嬉しそうにおっしゃっていました。JR北上線の「ほっとゆだ」駅前にある「湯夢プラザ」で売ってるよ、と教えてもらったので後ほど行ってみることに。

※1 秋田あるあるのエピソード。秋田新幹線「こまち」と北海道新幹線「はやぶさ」が盛岡駅にて切り離しor連結がなされます。ここで車両を間違えると大変です。
※2 正月に秋田県南等で食べられる家庭料理。個人的に一度食べてみたかったのですが、なかなか出会えずにいた、ANPにとって幻の一品。

「キミコさんがとてもフレンドリーに接していただけてとても嬉しかったです」と私が口にすると「もしかするとキミコさんは秋田のご出身だから、秋田の人と話すと懐かしいのかもしれないね」と小松さん。

つづく

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara