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アマゾンの不思議な神様をみる

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

今月から県境をまたぐ移動の自粛要請が段階的に緩和されました。秋田市内にも少しずつ人通りが戻ってきております。新型コロナウィルスの第二波が来ないことを祈る毎日です。

山形県鶴岡市の致道博物館で開催中の 「山口吉彦アマゾンコレクション~ともに生きる森」を私の家族と宮原さんの4人で観に行ってきました。 長年、南米アマゾンの民族、自然について研究されてきた山口吉彦さんの貴重なコレクションを展示する企画展。当初、GWまでの会期でしたが、新型コロナ感染防止で一時休止したため、6月8日まで期間が延長されました。

展示室に入ると色鮮やかな鳥のはく製と儀礼用の頭飾りが。来館者をアマゾンの奥地へと誘います。

人形道祖神の視点で圧巻だったのはティクナ族のマスクと樹皮布。この仮面をかぶり悪霊に扮した村人たちが初潮を迎えた少女たちを襲い、シャーマンの力で追い払われるという 「成女式の仮面劇」 で使われるもの。女性を災いから守るための儀式なのだそうです。その様子を山口先生から説明していただきました。まさにアマゾンのナマハゲ!ユニークな展示は山口先生のご長男でアマゾン資料館代表理事の考彦さんが手掛けられました。

鳥の羽や亀の甲羅などで作られたアマゾン各地の仮面。これらをかぶることによって超自然的な呪力が授かるとされ、様々な通過儀礼に用いられるそうです。その造形はナマハゲ行事や呪力で悪疫を追い払うオニョサマのお面にも相通じます。

山形県庄内地方を代表するミュージアム・致道博物館は常設展示も見ごたえがあり、一日居ても飽きない程。気になる資料を上げるとキリがありませんが、重要文化財に指定されている田麦俣多層民家の中にワラで作った精霊馬(しょうれいうま)に混じって、鹿島人形のような形代がありました。学芸員の方に尋ねたところ、お盆に先祖の霊が無事に家まで辿り着くように門口に立てた人形とのこと。かつては鶴岡周辺の農村でよく見られたそうです。

最後に山口先生と会場で記念撮影。秋田とアマゾンの不思議な神様がいずれどこかでコラボする夢ができました。

「山口吉彦アマゾンコレクション~ともに生きる森」 は6月8日(月)まで致道博物館で開催中。人形道祖神やプリミティヴアートが好きで鶴岡市に足を運ぶことが可能な方には是非お勧めします。残念ながら観に行けない方にはウェブギャラリーがありますので、こちらをご覧ください。

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投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft