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『アマゾン民族館の至宝展2』と人形道祖神

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

秋田県では新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急事態宣言が解除され、徐々にですが日常に戻りつつあります。私の本業である小松クラフトスペースも4月12日から臨時休業しておりましたが、約一か月ぶりに営業を再開いたしました。 まずは気を緩めずに、換気、消毒を万全にして店を開けております。

4月3日から小松クラフトスペースでは『アマゾン民族館の至宝展2』を開催していました。この企画展は山形県の人類学者で元アマゾン民族館館長の山口吉彦さんがかつて世界中で収集されたコレクションを展示販売する会(一部は展示のみ)で、主にオセアニア、アジア、アフリカの美術工芸品を出品。新型コロナ退散の願いを込めて、悪霊払いの人形道祖神とその仲間たちも展示しました。このブログでも紹介しようと思っていましたが、残念ながらスタートからわずか10日で休止に。

せっかくの展示会なので営業再開後も引き続き開催させていただく運びとなりました(5月30日まで)。展示の様子を人形道祖神の視点でご紹介いたします。

ショーウィンドーにはアフリカ、アジアの美術工芸や布と共に湯沢市皆瀬のニンギョウサマが登場。本来は自然石にワラで細工しますが、壺で代用しました。

韓国の魔除けの神様・チャンスンのミニチュアも。昨年、秋田魁新報のコラムで人形道祖神との関係を考察しました→こちら

ギャラリーの入口にはパプアニューギニアの「ストーリーボード」。部族の伝説や神話が木の板に彫られています。

左端の人形はバヌアツの神像。木に泥のような塗料で彩色したもの。大館市の神山のニオウサマにどことなく似ています。

タイ・アカ族が村境に祀る男女の人形神(ヤダ、ミダ)も。山口先生がかつてゴールデントライアングルで収集した資料です。ネットニュースによるとまさに今、アカ族の村では、この人形に新型コロナ退散を祈願しているそうです。

世界各地で信仰の対象になっている人形の神様には秋田の人形道祖神と同様、悪疫退散の願いが込められているものが少なくありません。その造形を比較して見ると面白い発見があると思います。

秋田人形道祖神プロジェクトの書籍、Tシャツや絵葉書などの関連グッズも絶賛販売中です。 また、アーツセンターあきた刊行の「アウトオブ民藝・秋田雪橇編」や「あわいをたどる旅1〜3」の冊子を店内で配布しております。「あわい」の3号には私も「菅江真澄と秋田」と題したコラムを寄稿しております。在庫があるうちにどうぞ!

『アマゾン民族館の至宝展2』 は5月30日まで(日曜定休/営業時間・10:00~17:00)

小松クラフトスペース

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft