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新刊のご紹介 その4「境界と道祖神」編

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

9月15日発売の『村を守る不思議な神様・永久保存版』(KADOKAWA)。第3章は「境界と道祖神」です。

村に災いが入ってこないように、境界に祀られる人形道祖神。しかし、大館市北部で取材を続けているうちに、私たちはあることに気づきました。

「道祖神が祀られている場所は本当の村境ではない」

道祖神が密になっている地域では、それぞれの道祖神の間に緩衝地帯が設けられ、Aの村とBの村の道祖神が向かい合うことはありません。しかし、本当の村境で行われるもう一つの「まじない」があるのです。それが「虫追い」です。

大館市粕田で行われた虫追いの様子(2021)

「虫追いがきっかけで村同士のけんかになることもあった」と書かれている文献資料を発見。そんな中、「道祖神を祀り、虫追いも行っている」村が隣り合っている事例があることを突き止めました。

それぞれの村ではどんな「境界の祭り」が行われているのか。興味津々で取材に向かいます。

◆1年に2度開催される「人形祭り」。大事なのは「足元」

◆まさかの領内侵犯⁈初めて耳にする単語にビックリ!

◆虫追いで重要視されるのは「村境」ではなく「●口」だった。

道祖神や虫追いを通して、村や人にとって「境界とは何か」を考えさせられます。個人的には本書の中で特に気に入っている一章です。

新刊の概要はこちらから。
またご予約も承っております。→amazonページ

◆目次
プロローグ ~わら人形を作りなさい
第1章  人形道祖神のメジャーリーガー(湯沢市)
第2章  江戸時代の旅人・菅江真澄が見た秘境の神様(大館市)
第3章  境界と道祖神(大館市)
第4章  男と女の神(大館市、能代市)
第5章  マタギ文化と道祖神(仙北市)
第6章  明治政府が消したかった古代信仰(大仙市)
第7章  山村に生きる(大仙市、湯沢市)
第8章  大きなカシマサマと小さなカシマサマ(横手市)
第9章  奇祭! 動き出すわら人形(横手市、湯沢市)
第10章  ナマハゲと道祖神(にかほ市)
第11章  幻の泥塑天子を探して(北秋田市)
エピローグ~復活と継承(大仙市)

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft