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恋愛成就のパワーが凄い!?仙北市桧木内の「カンデッコ上げ」

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

「鍬(くわ)」と「男根」を模し木を削ったものをご神木に投げる 仙北市桧木内中里の小正月行事「カンデッコ上げ」を取材しました。毎年旧暦の1月15日に行われます。今年は2月8日の土曜日、ちょうど週末に重なりました。

満月が輝く夜、17時頃に秋田市から会場の仙北市へ向かいます。

「カンデッコ」とは、「朴(ほお)の木で作った小型の鍬(くわ)のことで、このカンデッコと胡桃の木で作った男根をしめ縄の両端に結んで一対にして、これを神木である桂に豊作や縁結び、災いの防禦など、その年への願いを込めて投げかける」行事です。(中里カンデッコあげ保存会の看板より抜粋)ご神木の隣には大きな木製の男根がたくさん祭られたサイノカミのお堂があります。

2018年3月、記念すべきANP初取材にて撮影

上記がご神木です。こちらにカンデッコを引っかけるように投げていきます。普段は閑散とした雰囲気ですが、

「カンデッコ上げ」 当日の会場では屋台が出たり火が炊かれたりし、雰囲気が様変わりします。警察による交通整理も行われていました。

寒い中、集落の女性の皆さんが「おつゆ餅(お雑煮のようなもの)」をふるまってくださいました。鶏で取ったお出汁に、つきたてのお餅やまいたけ、セリや鶏肉を入れるそうです。美味しい。

このあと投げるカンデッコが置かれています
カンデッコを投げる前にサイノカミをお参りします

お祈りが終わり、いよいよカンデッコ上げがスタート。一人でカンデッコを21個も上げる方も。ご神木の枝は意外と高い位置にあり、引っかかるように高く投げるのは至難の技。みなさんの様子を拝見していると、カンデッコをヌンチャクのようにグルグルまわし勢いづけるとよく飛ぶようです。小松さんも2回目で早々に成功しました。

ニッポンぶらり鉄道旅を見たよ!」と声をかけてくれた仙北市長の門脇さんから色々とお話を伺います。
私たちの取材スタイルは、スマホがカメラ役を担い、報道記者のような腕章もなく、一見取材だとわかりにくい風貌をしています。そこで門脇市長が「この人たちはきちんと取材をする人たちだから、この祭りのことを色々教えてもらえますか」と集落の町内会長さんに繋いでくださいました。

門脇市長の奥様からもお話を伺いました。様々なエピソードを教えてもらい「『カンデッコ上げ』には神秘的なパワーが満ちているかもしれない」と思いました。

お堂に祭られているサイノカミ

その理由の一つは、以前同行事にやって来た女性が、祠に収められている男根の形をした神様を撫で、まもなくご懐妊されたそう。門脇市長の奥様ご自身も、同じように参拝され4人のお子様に恵まれたそうです。今では「もう行くな」と言われているそう。

二つめは、奥様のご友人(独身の女性)が関東からカンデッコ上げ直後にこの地を訪れたお話。地元に戻られた後、割とすぐにお付き合いする男性とネットを通じて巡り逢い、結婚されたそう。ちなみにお相手の男性は偶然にも田沢湖のご出身でした。

三つめは、カンデッコ上げの日は満月であること(旧暦の1月15日に開催される為)。満月パワーが関係しているかもしれない、と思いました。

門脇市長から「カンデッコには色々ご利益があるので、引っ掛かったものを取って持って帰る人もいます。あなた方もぜひ、お持ちください」と言っていただきました。
奥様のお話を聞いていた私は、「何が何でもカンデッコを持って帰りたい!」と考えていました。そこで物干し竿のような長い棒を使ってカンデッコを取っていた男性にお願いし、取ってただきました。大切に飾りたいと思います。

もしご興味がありましたら、来年の旧暦1月15日に是非、カンデッコ上げにいらしてください。近くには「吉田のワラニンギョウ」や名湯・乳頭温泉郷(車でおよそ40分位)、「ニンギョウのいぶりがっこ」を作っている農家民宿「星雪館」さんもありますよ。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara