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4年ぶりに念仏が復活!鶴形のショウキサマ(動画付き)

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

春の到来と共に人形道祖神の行事が秋田県内各地で始まっております。とりわけ年に2度、春と秋に行事がある集落では、田植え前の4月、もしくは田植え後の6月にワラ人形の作り替えが行われる事例が多くあります。

4月15日、能代市鶴形のショウキサマの行事「春の御祈祷念仏」が開催されました。集落の入口6カ所に1体ずつ祭られているこちらの人形道祖神は第1作目の『村を守る不思議な神様』で取り上げましたが、行事を取材したことはありませんでした。人形は毎年作り替えないものの、女性たちが数珠を回しながら念仏を唱え、ショウキサマに悪疫退散を祈願する「御祈祷念仏(百万遍念仏)」が春と秋に行われています。

2020年3月には鶴形の送り彼岸行事「ジンジョ焼き」に伺いました。その様子を宮原さんが紹介しております。

<前編>春うらら、能代市鶴形へ。ジンジョ焼きと、作りたてのショウキサマをみる

<後編>春うらら、能代市鶴形へ。ジンジョ焼きと、作りたてのショウキサマをみる

次は是非ショウキサマの念仏行事を!思っていたのですが、残念ながらしばらくコロナ過で中止になっていました。今月初旬、普段からお世話になっている長老の小林吉郎さんから再開のお知らせをいただき、念願かなって取材させていただきました。

午前9時過ぎ、鶴形地域センター(旧鶴形小学校)には16名の「鶴形念仏講」の女性たちが集まりました。研修室に地獄極楽図の掛軸6幅をかけ、お菓子や蝋燭をお供えし、念仏の準備を整えます。この行事は女性が中心となっていますが、男性はお二人、小林さんと鶴形地域まちづくり協議会の渡辺和吉会長が助っ人として参加しました。

午前10時過ぎ、いよいよ念仏がスタート。回向文、摂益偈を詠唱した後、太鼓と鉦のリズムに合わせて「なんまいだ」を13回唱えます。休憩を一度挟んで、約50分間。数珠がだいたい100周したところで終了しました。

迫力の念仏を映像で♪

クリックすると動画が再生します

一段落した後は、お茶のみタイム。かつては念仏の後、行列を組んで町内の6カ所のショウキサマにお参りし、御幣を奉納したそう。今年は小林さんと渡辺さんが手分けして回りました。

「駅前」常会のショウキサマ

この度の念仏に合わせて、今月初旬に「駅前」と「中分」の2体のショウキサマを作り替えたとのこと。念仏講の皆さんと別れてから、その姿を見に行くと、真新しいショウキサマに御幣が供えられていました。

4年ぶりに開催された鶴形の御祈祷念仏。この取材で初めて知ったことも多く、改めて人形道祖神と百万遍の関係を深堀してみたいと思いました。詳しくは近日中に秋田魁新報電子版「新あきたよもやま」でご紹介したいと思います。

おまけ

鶴形の入口にある立て看板。「わりぃごとしたら、ショウキサマが見てるどー!」という声が聞こえてきそうです。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft