Blog

カシマの夏、秋田の夏(前編)

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

8月に入ってから秋田でも暑い日が続いております。新型コロナの予防はもちろんですが、熱中症対策も万全にしなければ!

この夏も秋田県内の人形道祖神の行事を取材しております。夏の行事といえば何といっても「鹿島立て(人形道祖神)」と「鹿島流し(人形送り)」。県南内陸部の大仙市、横手市、湯沢市を中心に個性豊かな人形行事が各地で開催されています。その様子をダイジェストでご紹介しましょう。

30代の菊池翔さんと70代の長谷山さん、80代の菊池さんが制作していく様子が印象的だった中ノ又の鹿島立て

6月14日、横手市大森中ノ又のカシマサマの行事を取材しました。これまでも何度か訪れたことのあるカシマサマでしたが、作り替えを取材するのは今回が初めて。「50年前までは道祖神のカシマサマでなく、鹿島流しを毎年行っていた」という驚きの事実も。取材のルポは秋田魁新報『ハラカラ』の連載「ゆきゆきて出羽路(4)~保呂羽山麓のカシマサマ」に掲載しました。

時節柄、マスク姿でお目見えした中ノ又のカシマサマ

7月5日は横手市大森末野のショウキサマの作り替えと鹿島流しを取材。末野の鹿島行事は2018年から3年連続で取材しております。

2018年の取材は「村を守る不思議な神様2」に収録

2019年の取材は「再び末野のショウキサマに会いに行く!」、「ゆきゆきて出羽路(2)~第一回・末野鹿島人形コンテスト~

俵で作られたショウキサマの頭を据える場面は作り替えのクライマックス

今年も朝8時からショウキサマの作り替えがスタート。しっかりとした準備と役割分担がこちらの行事の特徴。プロフェッショナルな皆さんの手でお昼前には立派なショウキサマが完成しました。

例年、この祭りが行われる7月第一日曜日は暑い夏日になるのですが、今年は驚くほど涼しかったです。「今年は冷夏になるかな」とこの頃は思っていたのですが・・・。

鹿島船が周ってくると鹿島人形を持って住民の方々が集まってくる

夕方からは恒例の鹿島流しがスタート。各家々で作った小さな鹿島人形をワラで作られた鹿島船に乗せて村を巡行します。昨年から担い手が子供会から町内会に代わり、集落総出で行事を継承されています。人形道祖神と人形送り(鹿島流し)の行事が併存していること、昔ながらの技法で鹿島人形を制作されていることなど、末野の鹿島行事は秋田でも特別な存在です。

「第2回鹿島人形コンテスト」審査委員長は昨年に引き続き宮原さん

今年も「末野鹿島人形コンテスト」が開催されました。昨年より鹿島人形のクオリティがさらにグレードアップしたように見受けられました。それもそのはず!この鹿島人形たちが「悪疫退散」の願いを託されて首都圏に出陣するのです。

この動画で荒俣宏先生が手に持っているのはまさに末野の鹿島人形!そして周りには末野のショウキサマをはじめ、秋田県内各地の人形道祖神が⁈詳細は後日改めて。

カシマの夏、秋田の夏(中編)に続きます。

仙北市・田沢湖図書館で開催中の 「悪疫退散!村を守る不思議な神様 小さな原画展」 いよいよ会期は一週間を切りました。お盆前に家族で再訪しましたが、5歳になる娘もとても楽しみました。毎回「おにょさまマップ」 の新情報が楽しみです。田沢湖方面へお越しの際は、ぜひお立ち寄りください。

「悪疫退散!村を守る不思議な神様 小さな原画展」
日時:7月4日(土)~8月23日(日)
開館時間:火~土(9~18時)、日(9~17時)
休館日:月・祝日・月末休館日
会場・お問い合わせ:田沢湖図書館2Fホール TEL 0187-43-1307
主催:仙北市教育委員会・仙北市田沢湖図書館

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft