前編の「消えたショウキサマを探せ!」で伺った集落から小掛に戻り、そのままお昼を食べに行くことにしました。二ツ井といえば「ザザーメン」。生姜が効いたひき肉入りの味噌ラーメンのような食べ物です。3年前にザザーメンを食べたことがあったので、今回は「レストラン真珠」さんへ。昭和の古い食堂のような雰囲気です。

カツカレーを食べている小松さん。「普通に美味しいです!」とのこと。私はオムライスを注文。見た目は普通なのですが、家では再現が難しそうな濃厚なお味で大満足でした。

小掛に戻ると、手に肉付けが施されていました。手足や胴体のバランスを念入りにチェック。少しでも気になる箇所があれば直します。OKが出ると、コモを掛け、おっぱいとおへそを取り付けていきます。

小掛は県北ですが、県南でさかんにつくられる「ねじり」式であったのが意外でした。
コモとおっぱい&おへそが取り付けられました。沢山の動画や様々な角度から写真をたくさん撮りましたので、詳細はどこかで開催するスライド&トークショーで発表できたらと思います。どうぞお楽しみに!
そして、本日はここまで。あとはお面の仕上げと、トラックに乗せて首都圏へ向かう日に杉の葉で洋服を着せ、お面をはめ、魂入れをして完成です。
小掛のショウキサマつくりのリーダー、小玉さんのこと

小玉さんはショウキサマづくりのリーダーを務められています。80代とは思えぬ貫録で、菅原文太さんのような「凄み」を感じます。昨年秋に初めてお会いした際、果たして普通にお話しさせていただけるのか不安に駆られたほどです。
この日の小玉さんは、集落の皆さんをショウキサマづくりにグイグイ引っ張っていました。イボ結びで手がおぼつかない若手の皆さん(60~70代)を見ながら「このままいったら、頼りないショウキサマになるかなあ!」とか、作業を遠慮がちに見ている男性陣にむかって 「みんな、かかしじゃないんだからこっちへこい!」 と発破をかけたり。
ショウキサマづくりが次回60年後にしか行われないとしたら、今みていることをしっかり記録しなくては、という使命感に駆られた私は、勇気を出し、気になる箇所があればお邪魔にならないポイントで小玉さんに何度か質問させていただきました。木の種類や見知らぬ手法が出てきたらその目的等、今思えば煩しい存在だったかもしれません。(すみません!)しかしその都度、小玉さんは丁寧に教えてくださいました。
小玉さんとの会話の中で、印象的だったのは「作業に積極的関わることが大事。でないと村からはじき者になるんだ」「自分で考えて動かないと皆に受け入れられない」ということ。「本当は口うるさく言いたくないけど、誰かが言わないといけないから」とおっしゃる小玉さん。現代においても通用する教えを真剣に伝えていらっしゃったのでした。「ショウキサマつくりは、色々なことを学べる場であり、若い人の通過儀礼でもあったんだよ」
作り替え作業が終了後、小玉さんにインタビューをさせていただきました。小玉さんの戦後の生い立ちをお聞きし、先に記述した小玉さんの信念の礎を教えてもらったような気がしました。また以前ちらっとお聞きした当時の歌「 ソンテーナ、オイダ―~♪ 」をリクエストしたところ快く歌ってくださいました。なんともいえない気持ちよいメロディ。小玉さんが笑うと、私も嬉しくなります。いつの間にやら小玉さんの魅力に心を奪われてしまったようです。
小玉さん、集落の皆様、そして区長の成田さん、この度は貴重な取材をさせていただきありがとうございました!後日ショウキサマを引き取りに再び伺います。
おまけ編 二ツ井名物「じゃっぷぅ」

キーホルダーのショウキサマと一緒に。
突然ですが、「じゃっぷぅ」をご存知でしょうか。二ツ井の名物です。一昨年も食べました。イチゴ味のかき氷のような、シャーベットのようなデザートで、疲れた体が引き締まるような爽やかなお味。この日はたまたま本店の三國屋の社長がいらっしゃったので、名称が「じゃっぷ」から「じゃっぷぅ」に変わった理由をお聞きしました。なかなか複雑な事情で・・・
「じゃっぷぅ」 は三國屋さんや二ツ井のサンクス数店でも食べることができます。二ツ井に来られたら是非お試しください。