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師走も人形道祖神取材

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

2019年も残りわずかとなりました。毎冬、雪が降り積もると取材はほぼ不可能になりますが、今のところ暖冬の影響で雪が少なく、先日はこれまで未調査だった人形道祖神を訪ねてまわることができました。しかし「熊がまだ冬眠していない」という情報もあり、山へ深入りするのは禁物です。

◆秋田市内でブックフェア開催中

今週から秋田市の加賀谷書店茨島店さんで「来訪神と道祖神」のコーナーが設置されました。秋田の「なまはげ」と「人形道祖神」にスポットを当てたブックフェアです。

店内に入ると正面にドーンとカシマサマの写真、そしてニンニョサマの手が!

石川直樹さんによる来訪神の写真集 「まれびと」のパネルや人形道祖神の手、宮原葉月さんによる『村を守る不思議な神様』の原画も参考展示されています。私と宮原さんは「まれびと」のページをめくるたびに「おー!」と驚嘆しました。このブックフェアは2020年1月中旬まで。

秋田市・大町の乃帆書房さんでは 秋田魁新報の特別企画「ハラカラ」関連書籍コーナーが設置されています。ハラカラの執筆メンバーであるユカリロさん、勝手に宣伝組合さん、そして私たちの書籍を揃えていただきました。

宮原さんが装丁を担当した『ピンクとグレー』、『服を買うなら捨てなさい』も!

乃帆書房さんは秋田の郷土史に関する古書も充実。これまで図書館でしか見られなかった市町村史をリーズナブルな価格で購入できました。いつも貴重な本との出会いがある本屋さんです。

そして小松クラフトスペースでは常時、秋田人形道祖神プロジェクトの書籍、関連グッズを販売しています。年末年始に帰省される皆様も、ぜひこれらのショップへ足をお運びください。

◆アンソニー・シェルトン先生と人形道祖神めぐり

中ノ又のカシマサマとアンソニー先生

12月19日、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学人類学博物館のアンソニー・シェルトン館長を大仙市、横手市の人形道祖神にご案内しました。大学での講義のために秋田に来られたアンソニー先生。お会いした際に人形道祖神の風習についてご紹介すると興味深々。「よかったら一緒に行きましょう」と運転手&ガイドを買って出ました。当日、宮原さんは用事があったため、アンソニーさんと私の二人で出かけることになりました。

下荒沢のショウキサマにて

人形道祖神を英語で説明するのは今回がほぼ初めて。私の拙い英語解説にも先生は熱心に耳を傾けられ、かなり興味を持たれた様子。秋田の人形道祖神が世界的な人類学者の心を掴みました。

南外民俗資料交流館に展示されているショウキサマの前で記念撮影

最後は今年9月にショウキサマのワークショップを開催した大仙市の南外民俗資料交流館へ。ここでもアンソニー先生は展示資料に夢中。この資料館について先生は「博物館とは決して大きければいいというものではない。このように小さくともコレクションが充実している博物館は本当に素晴らしい」と大絶賛!帰りの車の中で何度も「NANGAI」とおっしゃられていました。

同行させていただいた中で、アンソニー先生の視点の鋭さや専門用語の使い方など、私自身、勉強になることが多々ありました。貴重な経験をさせていただいたと同時に、秋田の人形道祖神を海外に紹介していく「はじめの一歩」を踏み出せた、という気がしています。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft