7月16日、横手市平鹿町樽見内の鹿島行事を取材しました。樽見内のカシマサマは旧浅舞村と旧里見村の村境に近い小勝田沼に浮かぶ小島に平館のカシマサマと並んで立っております。

行事の当日、朝から村の長老たちが集まり、カシマサマ作りがスタート。 「コロナのさなかなので張り切って作らなければ」と2メートルほどの立派なカシマサマを制作されました。

樽見内の鹿島行事では村の人たちが皆で作る道祖神のカシマサマと各家で作る小さな鹿島人形が小勝田沼に奉納されます。長年、行事に携わってこられた小野寺幸雄先生の指導の下、宮原さんと私も小さな鹿島人形を制作しました。素材はガツギ(マコモ)。先生の指導が良かったので、思いのほかよくできました!
この経験が後日、意外なところで使われるとは思ってもみませんでした(その詳細は来月中旬に…)

夕方からはカシマサマの巡行。各家ではお賽銭の他、小さな鹿島人形を奉納する方も。小野寺先生に聞けば「元々は道祖神のカシマサマはなく、小さな鹿島人形を各家で作って小勝田川に流した」とのこと。鹿島流しは昭和30年代に一時中断しましたが、昭和50年代に「鹿島流しを語る会」が発足し、鹿島行事が復活したそうです。その際に大きな道祖神のカシマサマも小勝田沼に立てられることになったそう。前回のブログで紹介した大森中ノ又のカシマサマと同様に「鹿島流し」から「鹿島立て」という流れが、樽見内でもあったことがうかがえます。

同日、樽見内の周辺でも鹿島行事が行われてました。高畑集落では「鹿島梨」と呼ばれる梨の大木に各家で作った鹿島人形を夕方奉納します。こちらの人形もガツギで作られますが、樽見内とは微妙に作り方が違います。「昔は誰が一番高いところに人形を奉納できるか競ったんだよ」と地元の方から教えていただきました。人形を川に流すのではなくご神木の梨の木に奉納するというこのユニークな鹿島行事は 近くの柄内(からうち)集落にも。

『村を守る不思議な神様(1)』のあとがきに少しだけ登場する 横手市平鹿町下高口のカシマサマは7月18日に作り替えが行われたと多賀糸尊さんから教えていただきました。なんと今年のカシマサマの顔は多賀糸さんが描いたのだとか。後日、見に行きましたが多賀糸さんらしい味のある表情のカシマサマでした!
カシマの夏、秋田の夏(後編)に続きます。

仙北市・田沢湖図書館で開催中の 「悪疫退散!村を守る不思議な神様 小さな原画展」 いよいよ明日8月23日まで!
「悪疫退散!村を守る不思議な神様 小さな原画展」
日時:7月4日(土)~8月23日(日)
開館時間:火~土(9~18時)、日(9~17時)
休館日:月・祝日・月末休館日
会場・お問い合わせ:田沢湖図書館2Fホール TEL 0187-43-1307
主催:仙北市教育委員会・仙北市田沢湖図書館