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<後編>ANP初の越境取材は神がかり的なハプニングで大変!岩手の西和賀へ

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

「左草人形送り」の取材後、近くにある巨大なわら人形を見に行くことにしました。

「1989年3月に当時の湯田農業改良普及所が”日本一”のわら人形として湯田牛乳公社の『結ハウス』前に設置した人形で、同町白木野地区に伝わる厄払い行事『白木野人形送り』のわら人形がモデル。高さ5メートル、左右に広げた両手の幅は4.3メートル(岩手日日新聞社記事より抜粋)」というわら人形です。

大きなわら人形の奥にある「結ハウス」、何かの売店でしょうか。窓に貼られた「湯田牛乳100%のソフトクリーム」というポスターに惹かれ店内へ。

店内に入ると、「美味しくて評判がよい、あのヨーグルト」を作っている『湯田牛乳』の直売店だったことがわかりました。他にも低温殺菌牛乳や搾りたての生乳に近い「厚子ノンホモジナイズ」などこだわりの商品も。

お店に撮影許可をいただきました。デザートも充実。
直売店ならではのお得な訳アリセットもありました。

ミニチュア版「厄払い人形」も販売されており、小松さんは早々にゲット。

ほくほくした気持ちで、JR北上線の「ほっとゆだ」駅前にある「湯夢プラザ」に向かいました。さきほどキミコさんに教えていただいた「納豆汁の素」を買う為です。ついでにお昼も食べました。西和賀は町おこしでお蕎麦が名物のようで、もり蕎麦を頂きました。秋田ではなかなか食べられない歯ごたえ。

日頃お世話になっている小松さんご家族の皆様へお土産に。
「食べてみたよ、美味しいね!」「いい味噌を使ってる」
等絶賛いただきました

お腹も落ち着き、最後に西和賀の残り2体の神様を見に行くことに。最初は「下前厄払い人形送り」で知られるわら人形へ。来月に作り替えが行われるので、現状はかなり汚れてヨレヨレしているかもしれません。下前集落の端から端まで車に乗りながら探してみますが、木の皮と見間違えたりし、なかなかみつかりません。「あ!」

そして、最後の「白木野人形送り」のわら人形へ。途中道を教えてもらいスムースにわら人形を発見することができました。とんとん拍子で物事が進みます。

近くで車を停め、わら人形に近づき写真を撮ろうとしましたが、その瞬間、小松さんから断末魔のような悲鳴があがりました。「あー!!!!!」

一体何が起きたのでしょうか。
・・・「キー閉じ込み」でした。「キー閉じ込み」とは、「車内に鍵を置いたまま、全てのドアがロックされてしまい、車の中に入れないこと」です。

絶望の中、小松さん撮影

小松さんの車は「スマートキー」タイプなので、通常鍵が車内にあるとドアはロックされませんが、なぜかロックされてしまったのです。
車から出ようとしドアを閉じかけた瞬間、小松さんの手から、鍵がポロリと落ちました。鍵は車体とドアの細い隙間にピタリと挟まり、ドアまたは車体の凹凸が、偶然「ロック」ボタンを押したようです。キーが車内の隙間に挟まったまま、全てのドアがロックされてしまいました。

時刻は16時過ぎ、日が落ち気温が下がり始めていました。周囲は100メートル程先に家がポツンとある程度。二人の手にスマホはありますが、財布や暖かい毛布は車内に取り残されたまま。非常に心細い状況です。

そもそも「キー閉じ込み」に対応するにはどうしたらよいのか、JAFでもさすがに無理では、秋田市内にあるディーラーさんに鍵を持ってきてもらうしかないのか(高速を使って車で2時間位)、二人は車の周囲で右往左往するばかりです。

結果的にはJAFに対応していただけることになりました。小松さんがJAFと電話で話している間、私はスマホで現在地を調べようとしました。すると、突然スマホの画面がブラックアウトし、うんともすんとも言わなくなりました。

「ありえない原因でキー閉じ込みが起こり、私のスマホまでもブラックアウトしてしまった。神がかり的な力が働いたのではないか」と思えて少し怖くなりました。

現在地をJAFに知らせる必要があり、100メートル先に学校のような建物があったのでそこまで電話をしながら二人で走りました。
すると、校舎を利用した「NPO法人 雪つばきの里」というコミュニティーセンターであることが判明。祝日にも関わらず、中に人がいらっしゃいます。「JAFが到着するまで、玄関先に入れていただけないか」相談させてもらうことにしました。

すると、突然の訪問にも関わらず、 雪つばきの里の方が玄関先ではなくヒーターがある室内まで招いてくださり、その上温かいコーヒーまでご馳走になりました。JAFが来てくれるまでのおよそ3時間、おかげさまで安心しながら待機することができました。「まだJAFは来ないの?」「心細いよね」とスタッフのみなさんがやさしく声を掛けてくださいます。

18時半頃、横手から助けにきてくれたJAFのお兄さんと小松さんが40分の格闘の末、無事車のドアを開けることができました。雪つばきの里の皆様に御礼を伝え、秋田市に向けて出発!

帰り道、秋田と岩手の県境にある「巣郷温泉」に寄りました。源泉掛け流しと「油のような匂い」が気になっていた温泉です。実際に入ってみると、豊富な湯量と、タイヤのゴムのような化学的な香りがする個性的な温泉でした。好き嫌いが分かれそうですが、また行きたいと思いました。翌日は肌がつやつやしていたので、美容効果があるかもしれません。

ちなみにブラックアウトした私のスマホはその後、辛うじて電源は付きましたが、充電ができない不具合を抱えていました。スマホを買い替えなくてはと思いましたが、家に帰ると調子が戻ったので、ただただ首をかしげるばかりでした。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara