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11/22,23両日開催!「みんなで作る・ショウキサマ&ヤマハゲ復活プロジェクト」in秋田美大

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

2025年も残りわずかとなりました。今年は1月に秋田市の秋田公立美術大学で神野善治先生を招いたシンポジウム、3月は石川県金沢市で宮原さんの作品展といった人形道祖神に関する印象に残るイベントが続いています。そして今月、再び秋田公立美術大学にて、秋田人形道祖神プロジェクトが地域と大学、そして地元企業と一体となって取り組む、史上初の共同プロジェクトが始動します。

みんなで作る・ショウキサマ&ヤマハゲ復活プロジェクト

主催:秋田公立美術大学、秋田人形道祖神プロジェクト 協力:秋田銀行

2025年11月22日(土)午前10時~午後3時、11月23日(日)午前10時~
講師:横手市末野集落の皆さん、松橋敬子さん(藁の会)
参加者:大学生、教員、市民の皆さん

※本プロジェクトは秋田公立美術大学大学院博士課程による『複合芸術会議2025』のプレイベントとして開催されます

民俗行事の宝庫である秋田県。その中でも全国一の数を誇るのが、ナマハゲに代表される「来訪神行事」、そしてショウキサマ、カシマサマといった守護神となる人形を祀る「人形立て行事(人形道祖神)」です。どちらも200年以上の歴史を持ち、ナマハゲはユネスコ無形文化遺産に登録され、人形道祖神は近年、秋田県の観光ポスターに採用された他、多くのメディアにも取り上げられています。こうした「異形の神々」は秋田県が世界に誇るべき伝承行事ですが、一方で人口減少により存続の危機に立たされている集落も少なくありません。特に行事に欠かせないケラ編みや俵編みといった藁細工技術は担い手不足が深刻化しています。
今回のプロジェクトでは集落の方々による指導を受けながら大学生や市民の方々が人形道祖神や来訪神の面を共に制作し、秋田の文化遺産であるこれらの行事の継承を具体的に模索していきます。

①秋田公立美術大学に展示されている末野のショウキサマ(横手市)の衣替え

2020年、角川武蔵野ミュージアムに展示するために秋田県内5カ所の人形道祖神のレプリカが制作され、現在これらは秋田市の秋田公立美術大学構内に展示されています。そのうち最大(約4メートル)の「末野のショウキサマ」は本棟入口に立てられていますが、制作から5年が経ち劣化が目立つようになりました。地元の皆さんの指導を受けながら、ショウキサマの作り替えに挑戦しましょう!

②妙法のヤマハゲ面とケラの制作

秋田市雄和の妙法地区では、「ヤマハゲ」という来訪神行事が毎年1月中旬に行われていました。サンダワラで作られた面が特徴でしたが、残念ながら現在は途絶えています。現在、妙法集落の有志の皆さんが行事の復活を模索しています。
そこでヤマハゲのサンダワラ面とケラを、秋田美大で行われるショウキサマの作り替えにあわせて製作することになりました。そして2026年の小正月にこれらを使用してヤマハゲを行う予定です。

イベント詳細

1、22日は午前10時に本棟前にあるショウキサマの場所に集合していただきます。各パーツ作りは屋外と屋内(場所は当日お知らせします)に分かれて制作します。制作に参加される方は作業用手袋を持参してください。防寒対策もお願いします。
2、22日はパーツ作りや組み立て、23日の午前中に完成させる予定です。
3、教育プログラムの一貫であることから制作チームは大学生を優先させていただきます。
4、見学だけでも可能です

・参加要項

1、参加ご希望の方はGoogleフォームからエントリー、またはメール(komatsucraft@gmail.com)にてお申し込みください。メールでお申し込みの方は人数、希望日(22日、23日)、制作or見学のどちらかを明記してください。

◆参加フォーム 学生版 一般版

2、定員を超えた場合はお断りさせていただく場合もありますのでご了承ください。
3、クマ出没や悪天候などでやむを得ず中止する場合は、メールで中止の連絡をいたします。

使用する藁について

今回使用するわらは秋田市妙法の金(こん)陽子さんの田んぼと潟上市飯田川のたそがれファームさんの稲わらを使用します。金さんは神奈川県出身。国際教養大学入学を機に秋田に来たのがご縁で秋田市雄和の妙法集落に“嫁入り”。雄物川や里山の風景に魅了され、「ここで何ができるか」と日々模索しています。
昨年秋、たそがれファームさんで開催された講演会で金さんと知り合い、地元のヤマハゲを復活させたいというお話を聞きしました。このご縁から、今年は金さんの田んぼで採れた稲わらを使い、美大のショウキサマと妙法のヤマハゲの面・ケラを制作する運びとなりました。9月の稲刈り作業には私も参加させていただき、プロジェクトの第一歩を共に踏み出すことができました。

今回のプロジェクトは、秋田銀行様からもご協力をいただけることになりました。地域文化の継承を目的としたこの取り組みを、産学連携で実施できることは、極めて意義深く、未来につながる一歩だと感じています。
開催まで残り2週間という直前の発表となりましたが、史上初となる「人形立て&来訪神」の共同制作・体験イベントに、ぜひご参加ください!

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft