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粕田の人形立て&虫追いを取材しました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

6月27日、大館市粕田のニンギョウサマの行事を取材しました。こちらでは春と秋にニンギョウサマの衣替えの行事「人形立て(人形祭り)」が行われます。宮原さんは目下埼玉の自宅に籠り、新刊の制作に集中しているため、今回は家族と一緒に伺いました。

いつもは集落の上と下に分かれて祀られる男女一対のニンギョウサマ。この日は集会所に移動し、住民の皆さんの手で衣替えします。春はわらじ、秋は藁靴を履かせるのが、こちらの特徴です。

春の「人形立て」では「虫追い」という、もう一つの村境の祭りが行われます。これは農作物を荒らす害虫を笛や太鼓の演奏で追い払う伝統的なまじない。村境の3カ所で行われますが、面白いことに道祖神とは「境界」の概念が異なります。

宮原さんから「虫追いの際にお供えする料理を見てきてください」というミッションが。実は2019年にも二人で取材させていただきましたが、「どういったものをお供えしているのか」を確認していませんでした。大館市山田のジンジョサマの行事にもお供えされる「デンブ」、「ナマス」、「ニシメ」という定番の「神饌(しんせん)3品」をはじめ、地の物を使ったお料理でした。

集会所では衣替えを終えたばかりのニンギョウサマが玄関に。集落の皆さんがキリタンポやお酒といったお供えを持って参拝に来られます。年配の女性たちが「どうか家族が健康で過ごせられますようにお守りください」と祈る姿に、信仰が深く地域に根付いていることを改めて感じました。粕田の皆様、本当にありがとうございました。

9月に発売予定の新刊では「密になる道祖神」、「2つの境界の祭り」というテーマで、粕田の「人形立て」と「虫追い」について取り上げます。「道祖神がたくさん祀られている地域には緩衝地帯がある」という事実が分かったり、「えっ?」と思う単語が出てきたりしますので、是非ご期待ください。

【番外編】

今回の取材には私の妻と娘(小学一年生)も同行。最近、娘を自然と触れあわせる機会が無かったのですが、田んぼでカエルを探したり、蝶を追いかけたりと、素晴らしい体験をさせていただきました。この日は他にも図書館や道の駅にも寄りましたが、帰ってから娘に「何が一番面白かった」と聞くと「虫追い」とのこと。絵日記にもニンギョウサマを描いていました。なかなか良く特徴を捉えています(笑)←親バカ。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft