秋田市内ではこの冬何度目かの寒波が襲来中。今日は朝から凄まじい勢いで雪が降り積もっています。今年の冬は寒暖の差が激しく、この数年で一番手ごわいかも。
しばらくブログを書いていなかったので、今回は情報盛りだくさんです。まずは1月24日(金)、秋田公立美術大学で行われたシンポジウム「人形道祖神と鹿島行事」のご報告から。人形道祖神の名付け親である民俗学者の神野善治先生、そして美大がある新屋地区で長年「鹿嶋祭」に関わられてきた高橋伸氏を招き、「複合芸術会議2024」のイベント内企画として開催されました。当日は大学関係者だけでなく、県内外からもたくさんの方に足を運んでいただきました。

神野先生の基調講演では、民俗学に関心を持った少年時代から、各地の道祖神を巡って歩いた青年時代の思い出など話を交えながら、人形道祖神という民間信仰の一類型を発見した経緯について紹介。秋田県の人形道祖神については「これほど集中して、集落ごとに個性のある人形を作る地域は他にない。全国や世界に誇る文化です」と力強く語られました。

神野先生がかつて調査先で記した取材ノートを特別公開。貴重な記録の数々に、聴衆の皆さまも釘付けに。
続いては私の研究発表「秋田県における人形立て行事と鹿島流しの一考察」。これまで、「秋田県にはなぜこれだけ多くの人形道祖神が分布しているのか」という質問をたくさん頂戴していましたが、これまでのリサーチや文献資料を元に仮説を立てて、この度発表しました。同名の研究論文は今年度の秋田公立美術大学の紀要に掲載される予定です。
高橋さんは秋田県内最大の鹿島流しである新屋の鹿嶋祭について詳しく解説し、これからの展望や課題など当事者ならではの視点でお話されました。また、秋田美大の学生が鹿嶋祭の人形制作に積極的に関わっていることにも触れ、祭りが地域と大学を結ぶ役割を果たしていることが印象付けられました。

当初は高橋さんの発表の後にトークセッションを行う予定でしたが、予定時間が超過しやむなく断念。「人形立てと鹿島流し」をテーマにしたシンポジウムは、これから何度も開催できそうです。
人形道祖神研究の先駆者として尊敬してやまない神野先生、物心つく前から鹿嶋祭に参加されてきた高橋さん。お二人と一緒に登壇させていただいたことは本当に貴重な経験となりました。今後も秋田公立美術大学を拠点に、人形道祖神と鹿島行事の研究ができる手ごたえを感じております。

また私が運営している小松クラフトスペースの2Fギャラリーでは複合芸術会議の案内所としての役割を持つ「インフォメーション展」を開催しました。ここでは私の論文のテーマである「人形道祖神と鹿島流し」についての展示を行いました。このコーナーは好評につき、現在でもギャラリーの一画で継続しております(期間は未定)。秋田人形道祖神プロジェクトの書籍やグッズと共にご覧ください。
ここからはいよいよ本題です。3月はなんと言っても金沢市での宮原さんの作品展がありますが、秋田県内でもイベントが開催されます。

3月1日(土)、秋田県美郷町で開催される「第7回わらの文化交流の集い」に小松が登壇します。不滅の武神・本堂城跡のショウキサマが祀られ、日本屈指のわら細工コレクション(美郷町歴史民俗資料館)を有する美郷町。この町で「わらの文化」を次世代に引き継いでいくことを目的に毎年開催されているのが「交流の集い」です。
日時 令和7年3月1日(土)
午前の部 10:00~11:40(受付9:20~)※小松の講演は午前の部のみです
午後の部 13:00~15:00(受付12:30~)
場所:美郷町住民活動センター(美郷町畑屋字街道東144)
参加無料、要予約(参加お申し込みフォーム)
内容
<午前の部>
基調講演
演題「村を守る不思議な神様~ショウキサマと仲間たち」郷土史研究家 小松 和彦
活動紹介 美郷わらの会
講評 千葉大学名誉教授 宮崎清氏
<午後の部>
わら細工づくり体験講座
「しおりと編み南蛮を4本のわらからつくってみよう!」
山形県最上郡真室川町「工房ストロー」 主宰・髙橋伸一氏
イベントの詳細はこちら
※お問い合わせ
秋田県美郷町教育委員会 生涯学習課歴史文化財班(美郷町学友館内)
TEL:0187-84-4040(受付時間9:00~17:00/日・月・祝日はお休みのため対応できません。)
FAX:0187-84-3763
Eメール:gakuyukan@town.misato.akita.jp(メールでお申込みの方は、件名に「わらの文化交流の集い申込み」とお書きください。)

これまで秋田県内の人形道祖神が祀られている市町村にお招きいただき、トークイベントを数多くやらせていただきましたが、美郷町では今回が初めて。「わら文化の集い」も以前から伺いたいと思いながら、タイミングが合わなかったり、昨年は天候不順で行けなかったりと、ご縁がありませんでした。今年はまさに「満を持して」の参加です!
今回の講演では本堂城跡のショウキサマなどご当地の人形道祖神を中心にお話させていただきます。イベント会場のすぐ近くには、秋田県内の博物館施設の中で最も民俗資料が充実している美郷町歴史民俗資料館がございます。ご来場の際には、是非こちらにも足をお運びください。

最近、ありがたいことに執筆や講演のご依頼が増えてきましたので、私の郷土史研究家としてのウェブサイト「コマツクラフトラボ」を立ち上げました。今年は大河ドラマの影響か、遊廓や花柳界に関するレクチャーのご要望も多くいただいております。各種ご依頼、お問い合わせ等、お気軽にご連絡ください。