ジンジョ焼きが行われていた会場から、ショウキサマを作っていらっしゃるUさんのご自宅へ向かいました。2018年取材時に鶴形の町をあちこち車で周りましたが、今でも車窓から見える街並みをしっかり覚えていました。

普段は汚れないようビニールに包まれてしまう為、大変貴重な姿です。
Uさんの作業小屋には作りたての「下坂のショウキサマ」と「横町のショウキサマ」がいらっしゃいました。私たちは思わず大興奮。「すごい、すごい、ショウキサマはやっぱりかっこいい!」と何度も口にしました。
鶴形では皆で集まり作り上げるスタイルではなく、一人でコツコツ作業されるようです。ちなみにUさんは「村を守る不思議な神様1」に登場したシベリア抑留から帰還された小林吉三郎さんから、ショウキサマ作りを受け継がれたそうです。
じっくり拝見させていただくと「横町のショウキサマ」のお顔の作りに謎があることが判明しました。その謎は今でもわからず、いつか解明したいです。
細かくワラで編まれたトバ(蓑)等、装束の作りは吉三郎さんの時と変わらない美しさ。うっとり拝見していると、隣でUさんが小林さんから「今は長靴を履かせているけれど、藁沓(わらぐつ)を編んだ方がよいよ」とアドバイスを受けていらっしゃいました。
小林さんとUさんに丁重に御礼をお伝えし、その場を後にしました。残りの4体のショウキサマを見に行きます。
中分のショウキサマを見に滑らかな丘を登った際、すぐに息が切れてしまいました。体力がない自分にがっかりします。

能代といえば米代川だなあとしみじみ思いました
取材が早く終わったので、「平山はかり店」(能代市上町)さんにご挨拶に伺ったり、巴湯を見に行ったりしました。いつもは私が強引に小松さんを温泉に誘うのですが、今回は逆で小松さんから「巴湯に入りませんか?入りたいです。入りましょう!」と猛プッシュがありました。小松さんはレトロ建築に目がないのです。結局入らなかったのですが、、、次回は是非に。
帰り道に小松さんのおとうさまから「セキトの『志んこ餅』が食べたい」というリクエストがあったので買いにいきました。

乾燥させたうるち米で作った餅をこしあんで包んだお菓子。素朴で美味しかったです。
能代の方にとって、広島でいうところのもみじ饅頭のような存在でしょうか
この度の取材はいつもの過酷なものとは異なり、終始穏やかに終わりました。
鶴形では、米代川のようにゆっくり時間が流れているのかもしれません。
おまけ
能代市では毎年「能代ミュージカル」が開催されます。演者や脚本などすべて市民の手によって行われ、能代の民話・歴史などがテーマとして選ばれます。毎年能代市民の方が1,000名以上も来場されるそう。

2020年のテーマはなんと鶴形。2月に「十割そばの里、幸福の里 ~鶴形そば物語~」が上演され、ショウキサマが登場しました。どんなお姿だったのか、どのような内容だったのか、知りたくてたまらなくなり小林さんを質問攻めにしてしまいました。(すみません、、、)有難くもDVDをお借りし、小松さんご家族と皆で鑑賞しました。
想定より人間くさかったり、リアルな姿に割と近かったり、地元の方が捉えるショウキサマ像が新鮮で面白かったです。