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猿田彦神社とUさんと。

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

私たちの活動をいつも支えてくださるUさんのことを書きたいと思います。
Uさんは30~40代位の男性の方。彼には謎が多く、私たちはお名前しか存じ上げません。秋田の人形道祖神について「どこそこの道祖神はなになにで、」という具合に詳しく、また、手に入りにくい古い資料やカシマサマが写っている観光ポスターを持ってきてくださいます。Uさんがどんなお仕事をされているのか、なぜ人形道祖神について詳しいのか、尋ねてみても「私のことは構わないで、私はただ、あなた方の活動が実ってほしいのです」と返されてしまうばかり。

Uさんとの出会いは、ANPが東京で初めてスライド&トークショーを開催した2018年8月のことでした。「東京でイベントをやると知り、秋田から急いで来ました!」とにこやかにおっしゃるUさん。「えー!そんなわざわざ・・・泣」と、初めての東京イベントで緊張していた私たちを元気づけてくれました。それ以来、彼は人形道祖神に関する貴重な資料や情報を教えてくださったり、秋田や東京でのANPイベントに駆けつけてくださいます。

伊勢の猿田彦神社のお守りと、ねずみの置物をお土産にいただきました

そして先日、Uさんが小松さんのお店「小松クラフトスペース」にご来店され、猿田彦神社のお守りをお土産に持ってきてくれました。
Uさんが行かれたのは三重県の伊勢神宮内宮近くにある有名な猿田彦神社。道祖神にゆかりがあるお守りをわざわざお土産にくださいました。

そこで「猿田彦神社」と「道祖神」との深い繋がりについてご紹介を。

猿田彦大神の掛け軸。先日にかほ市横岡で行われた「塞ノ神祭り」の取材先でみせていただきました。手足が動物のようです。見た目は天狗に似ていると言われています

「猿田彦」は伊勢を本拠地とする神様で、「古事記」や「日本書紀」によるとニニギノミコト(天照大神の孫)が天から地上に降り立った際、猿田彦が道案内をしました。そのことから猿田彦は「道開きの神様」として道祖神信仰と、「猿」と「申(さる)」が重なることから庚申信仰(※)と結びついたとされます。猿田彦の長い鼻は道祖神によく見られる男性のシンボルを表わしているとも。

※取材中、道祖神のように村境に祭られた「庚申塔」の石碑をよく見かけます

ちなみに猿田彦の妻は「アマノウズメ(天宇受賣命)」。伝説の「岩戸隠れ」で天照大御神が天岩戸に隠れて世界が暗闇になった際、アマノウズメが岩戸の前で官能的に踊り、神々が大笑いし、その様子が気になった天照大御神が岩戸を開けた、というエピソードがよく知られています。
小松さん曰く「猿田彦は道祖神の神様、アマノウズメは芸能、花柳界の神様。私はどちらにもご縁があります」とのことでした。

決して多くは語らないUさんですが、 きっとアマノウズメも含めて全てを想定されていたのだろうと思います。 いつも静かにやさしく見守ってくださるUさん。私たちはUさんに喜んでいただけるように、今後も活動に邁進していかねば、と心を引き締めました。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara