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藤巻の厄神立てを取材しました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

田植え後の初夏は各地で人形道祖神のお祭りが行われます。6月9日は横手市大雄の藤巻のヤクジンサマ(カシマサマ)の行事「厄神立て」を取材しました。藤巻では村はずれの田圃の中に高さ2.6メートルのワラ人形のヤクジンサマが祀られています。

朝8時から、集落の中心部にある八意思兼(やごころおもいかね)神社でヤクジンサマの制作がスタート。骨組み以外はすべて新しく作り替えます。お昼までには堂々たる人形が完成。

藤巻の隣、平柳でもこの日ヤクジンサマが作り替えられました。こちらは集落の端にある神明社に安置されています。到着した頃には作り替えが終わり、行事に参加された集落の皆さんがヤクジンサマの前で直会の宴をされていました。

午後7時、藤巻では神社からヤクジンサマが祀られている祠まで約800メートルの道のりを若者たちが人形を背負って運ぶ儀式が行われます。ヤクジンサマの重さは約100キロ。太鼓が打ち鳴らされる中、若者が交代で人形を背負って歩きます。

「ぜひ私にも背負わせてください」宮原さんの願いに藤巻の皆さんは快く応じてくれました。周りのサポートがありながらも、背負って5歩進みました。火事場の馬鹿力ならぬ、道祖神の馬鹿力か。

私も2回背負わせていただきました。重いのはもちろん、縄が胸や手に食い込んで痛いのですが、「ヤクジンサマを背負って歩ける」という幸福感が苦痛をはるかに上回りました。

練り歩きがスタートして45分後、ヤクジンサマは元の祠に戻られました。魂が宿った新しいヤクジンサマの神々しいお姿にしばし見とれていました。
取材では驚くようなお話も聞くことができました。いずれ、詳しくご紹介できたらと思っております。藤巻の皆様、本当にありがとうございました。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft