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【後編】神様たちが奇跡の大集合!&現地めぐり

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 ドキドキしながら、「道ばた散歩展」の会場へ足を運びます。
 展示会場は、稲庭城のスタッフのみなさんが手掛けてくださったので、どんな風になっているのか、ずっと楽しみにしていました。

【関連ブログ】
「【展示紹介】ニンギョウサマの不思議な世界「道ばた散歩」展を開催!」
「【前編】稲庭城・特別展レポート!知られざる取材裏話」

【目次】
(1)展示のご紹介
(2)最後のトリは・・・
(3)飯田集落へ 「本当に、ニンギョウサマのご衣裳がない!」
(4)【後日談】展示をきっかけに、広がっていくニンギョウサマ 「見ておかねねべった!」

 まず目に飛び込んできたのは、稲川ガイドの会のみなさんが撮影した、39体のニンギョウサマの写真です。

 今年7月の取材で伺った7つの集落のみなさんが作ってくださったニンギョウサマたちも並んでいます。
 板戸の番兵さんは、長老の中山さんが、なんと目の前の杉の木から取り外してくださったもの。こうして一堂に会している姿を見ると、7月の取材の日々がよみがえってきます。

 今回、展示のためにご提供いただいたニンギョウサマのご衣裳や人形はこちらです。

  • 飯田のニンギョウサマ(秋田県湯沢市三梨町)
  • 御嶽堂のニンギョウサマ(秋田県湯沢市三梨町)
  • 板戸の上の番兵さん(秋田県湯沢市皆瀬)
  • 貝沼のニンギョウサマ(秋田県湯沢市皆瀬)
  • 皿小屋の上のニンギョウサマ(秋田県湯沢市皆瀬)
  • 羽場のニンギョウサマ(秋田県湯沢市皆瀬)
  • 元小安の下のニンギョウサマ(秋田県湯沢市皆瀬)

 本来なら、こうして間近で見比べることはできません。道路沿いや、野外の勾配のある場所に祀られていることも多く、落ち着いてじっくり眺めるのもなかなか難しい。そう考えると、今回の展示は、とても貴重な機会だと思いました。

 黄金の茶室の庭には、見知らぬニンギョウサマが!びっくりして稲庭城の佐藤さんにお聞きしたところ、会場を担当されている女性スタッフの方がとても器用な方で、ニンギョウサマの兜を見て、すぐに作ってしまわれたのだとか。こういう遊び心も、なんだか嬉しくなります。

 そして、イラストルポコーナーも作っていただきました~!

 今回は、41点のイラストルポ。

 最後の1枚で確認が必要になり、奥田さんにお願いして聞いていただいたりと、最後までバタバタでしたが、なんとか描き切りました。

 最後の1枚は、「御嶽堂のニンギョウサマ」の将来にも関わる、大切なお話です。

 こちらのスペースに入りきらなかった作品も、稲庭城の佐藤さんたちが、空いているスペースにうまく展示してくださいました。

 こちらは貝沼集落のイラストルポ。

 6点のルポを通して、貝沼の行事やニンギョウサマのこれから、祀られる場所が変わった経緯、そして長老の佐藤さんが取材中に思わず語ってくださったご自身のことなど、貝沼の物語を楽しみながら知っていただけたらと思います。

 一緒に展示を見て回った先ほどの小原さんは、「地元の方の本音がおもしろい」と評してくださいました。

 取材では、いかに地元のみなさんに本音で語っていただけるかということを、とても大切にしています。そうした言葉だからこそ、私たちの心にも深く響くのだと思います。

 こちらは、皿小屋のニンギョウサマについてのイラストルポ。

 お話上手な長老・阿部さんの語り口調をできるだけ活かしながら描きました。皿小屋のみなさんの活き活きとした様子も、楽しんでいただけたら嬉しいです。

 ちなみに、貝沼、皿小屋、板戸集落の取材は、前編の似顔絵にもご登場いただいた、皆瀬地域の達人・佐藤さんの多大なるご協力があって実現しました。改めて、心より感謝申し上げます。ありがとうございました!
※今回の取材を支えてくださった佐藤さんとの出会いや、取材の様子については、こちらのブログでご覧いただけます。

 こうして展示をじっくり見ていると、これまで自分が手掛けてきた展示のことも、ふと思い出しました。

(左)個展「村を守る不思議な神様 道祖神の世界」2025年,金沢市民芸術村/金沢市とのプロジェクトにて個展を開催。歴代2番目に多い来場者数を記録。(photo:野口良一)
(右)「新秋田の行事 in 大館2023」内の「不思議な神さま館」2023年11月,ニプロハチ公ドーム(秋田県大館市)

 これまで私が担当させていただいた展示では、人形道祖神、写真、イラスト(イラストルポやカラフルな作品)をミックスし、神様を祀る集落の様子を総合的に見せる演出を目指してきました。

 今回は、写真コーナー、ニンギョウサマのコーナー、イラストルポのコーナーをはっきりと分けた構成。

 それぞれの展示に集中できる環境がとても新鮮で、「こういう見せ方もあるんだなあ」と、私自身も勉強になりました。

最後のトリは・・・

 そして、会場のトリを飾るのは、やはり飯田の4体のニンギョウサマ!

 すごい、すごすぎる!

 普段は4か所を車で回らなければ会えない4体が、こうして一緒に並んでいる姿は、とても貴重です。

 写真でこのすごさをお伝えしきれないので、ぜひ現地にお足をお運びいただければと思います。

 それにしても、同じ集落なのに、形状が結構違う・・・いつか、ヤチ・カミ・シモ・ハバを全て取材させていただかなくては!と思いました。

飯田集落へ

 大満足の気持ちで、会場にいらっしゃった女性スタッフの方と佐藤さんに、「これから長い期間、どうぞよろしくお願いいたします!」とご挨拶し、会場を後にしました。

 さて、このあとは小原さんと一緒に、飯田のニンギョウサマを車で見て回ります。展示告知のブログにも書いたように、今は本物のご衣裳をお借りして展示しているため、「では、神様の本体はどうなっているんだろう?」と気になっていたのです。

 実際に見てみると、本当にヤチの一体を除いて、みなさんのご衣裳が展示に来ていることがわかります。

 カミのニンギョウサマを見に行こうとしたときには、いつも目印にしている兜がなくなっていたものですから、車で一度、うっかり通り過ぎてしまいました。

 ご神体の石を360度、じっくり拝見できるのも、とても貴重な機会です。

 「何の石なんだろう?」と思ったり、文字が彫られていることに気づいたり。

 衣裳を着ている普段とはまた違った姿を見ることができますので、展示と合わせて、ぜひこちらも見に行かれてはいかがでしょうか。

こちらは飯田集落のイラストルポ。

 飯田・ハバのニンギョウサマのすぐ近くには、きれいな水が流れる小さな水路があります。

 坂の下へ流れていく先に目をやると、黄金色の田んぼと、ほんのり赤くなり始めたリンゴ畑が。

 ニンギョウサマを見に来たはずなのに、こうした集落の風景まで楽しめるのが、現地を訪ねる醍醐味です。とっても楽しかったです!

 用事を済ませながらあちこち移動しているうちに、そろそろ予定の電車の時間が近づいてきました。そこで、小原さんと最後にお昼を食べることに。ところが、行くところ行くところ、全部お休み!最後にたどり着いた地元の老舗食堂に、なんとか滑り込みました。

 久しぶりに、秋田の食堂でラーメンをいただきました。

 小原さんと一緒に食べた、この一杯。これもまた、今回の旅のいい思い出になります。最後に駅構内の観光案内所に立ち寄り、奥田さんにもご挨拶。

 とても名残惜しかったですが、

「また、湯沢に来ます!」

 と心の中で、いや、しっかり口にして帰りました。

 そして、私の野望は――。

 ゆざわジオパークガイドの会のガイドのみなさんに、ニンギョウサマをはじめ、岩崎のカシマサマやオッペチ、三ツ村のカシマサマなど、さまざまな人形道祖神をご案内いただく機会が、どんどん増えていくこと。

 今回の展示が、その第一歩になったらいいなと思っています。

【後日談】展示をきっかけに、広がっていくニンギョウサマ

 今回の展示を通して、うれしい反響も届いています。

 同展示を企画された奥田さんによると、湯沢駅観光案内所でお客様とお話しした際には、実際に稲庭城を訪れた方から、「こんな素晴らしい文化があったことを知らなかった。驚いた」といった声を、何人かから聞かれたとか。

 また、10月3日に開催されたジオツアー「道祖神コース」に参加した20名のお客様について、ガイドの方からもうれしいお話を伺いました。ツアーでは時間の都合で稲庭城まで行くことができなかったものの、ニンギョウサマに触れた皆さんがとても感動され、「このあと、ぜひ稲庭城にも行ってみたい」と話されていたそうです。

 さらに、道の駅おがちで案内をされているガイドの方からも、「稲庭城のニンギョウサマを見て感動してきた方がいた」と伺いました。

 一方で、地元の方からも反応があったそうです。(稲庭城の佐藤さんから教えていただきました~)

 ニンギョウサマのある地区の方が、「見ておかねねべった!(見ておかないと!)」と、展示を見に来てくださったことも。また、受付で「特別展を開催しています」とお伝えすると、「それを見に来た!」と答えてくださる方も、少なくなかったそうです。

 なかには、「高松上新田にもニンギョウサマがいるよ」と、新たな情報を教えてくださった方もいたとか。(※高松下新田では3体確認されています)

 こうしたお話を聞いていると、今回の展示が、観光で訪れる方だけでなく、地元の方にとっても、身近な文化を改めて知るきっかけになったことを感じます。そして、展示をきっかけに新たな情報が寄せられるなど、ニンギョウサマをめぐる人のつながりが、少しずつ広がっていることもうれしく思います。

 私自身も今回の展示を通して、地元の方にとっても、身近にありながら改めて知る機会の少なかった文化なのだと感じました。

 「こんな文化があったんだ」と知ってもらうこと。

 そして、実際にその土地を訪れ、新たなつながりが生まれていくこと。

 今回の展示が、そんな小さなきっかけのひとつになっていたらうれしく思います。

稲庭城・特別展
「道ばた散歩 ~稲川皆瀬のオニンギョウサン写真展~」

地域に根付く独特のニンギョウサマ文化と、それを守り続けてきた人々の物語を、写真とイラストを通してぜひご覧ください。皆さまのご来城を心よりお待ちしております。

会期

令和8年9月16日(水)~10月26日(月)
開催時間 9時30分~16時30分 火曜定休日
※但し9月22日(火曜・祝日)は開館。翌9月24日(木)が振替休館日となります。
詳しくはこちら

場所

湯沢市稲庭城(2階) 
稲庭城入館料/大人430円 小人210円 ※展示は無料

アクセス

お車の場合:湯沢横手自動車道「湯沢IC」から約25分
電車の場合:JR奥羽本線・湯沢駅から予約制「こまちシャトル」もしくはタクシー利用
※「こまちシャトル」乗合タクシーの検索ページはこちら
湯沢駅前~稲庭城前:約25分・1,000円・1日2便(10:00発・12:45発 ※2026年9月時点)

お問い合わせ先

一般社団法人湯沢市観光物産協会 稲川事務所
TEL 0183-43-2649 / 0183-43-2929

ツアー

 本物のニンギョウサマや人形道祖神を巡ってみたい方は、湯沢駅観光案内所で有料のオーダーメイドツアーを申し込むことが可能です。湯沢市には岩崎のカシマサマ、御返事や三ツ村のカシマサマなど個性あふれる人形道祖神が存在していますので、この機会にぜひ。他に地元を代表する銘酒の酒蔵見学(「福小町」「両関」「爛漫」など)や温泉もおすすめです。(主催:ゆざわジオパークガイドの会 ※稲庭城ではありません) 
湯沢駅観光案内所:yuzawageoguide@yutopia.or.jp

関連ブログ ~宮原の旅の記録~

 秋田旅のご参考になればと思います。
「秋田市で弾丸でとんかつを食べる」(外部リンク)
「仙台から秋田へ。鳴子温泉に寄り道する」(外部リンク)
「鳴子温泉編、そしてついに秋田へ」(外部リンク)
「横手でひとり、夜をまったり過ごす」(外部リンク)

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp X @hatsukimiyahara