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秋田のおいしい新米がやってきた

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

あけましておめでとうございます
今年もどうぞよろしくお願いいたします

 昨年は人形道祖神の活動をきっかけに、金沢市とのプロジェクトで個展『村を守る不思議な神様 道祖神の世界』(金沢市民芸術村)の開催や能登の来訪神取材読売新聞夕刊の『しあわせ小箱』の連載で活動をご紹介いただいたり、また活動から派生した山口県下関市のプロジェクトでクジラ食や小正月行事『盗餅(とへ)』との出会いや、水産庁プロジェクト『uoya ~魚と食卓の関係をリデザインする。』で東北や北関東の漁港を駆け巡りました。たくさんの方々とのご縁をいただき、おかげさまで各地の文化や暮らしの魅力を知り発信していく挑戦的な1年となりました。ありがとうございました!

 そして、本題へ。人形道祖神と深い関わりがある「お米」、それも秋田が誇るおいしいお米についてのブログです。

「お米はどこもおいしい」
 かつてそう考えていましたが、秋田に一度住んでしまうと、米どころのお米はやっぱりおいしくて、今では秋田のお米ばかりを食べています。

【目次】
(1)2025年夏の田んぼ見学
(2)水がない!
(3)あきたこまちR(アール)
(4)秋田のブランド米「サキホコレ」
(5)サキホコレの栽培はむずかしい
(6)食味ランキングで特Aを獲得
(7)あきたこまちとサキホコレ 味の違い
(8)今年のお味は
(9)斉藤農園のお米を買えます

 毎年取材させていただいている秋田のブランドスイカ「あきた夏丸」を作る斉藤農園の斉藤稔弘さんから、秋田を代表する2種類の新米「サキホコレ」と「あきたこまち」がどどーんと届きました!

 斉藤農園では15ヘクタールもの田んぼでお米を作られています。15ヘクタールの広さをわかりやすくお伝えすると、東京ドームが3つ分ほど。
 「田んぼが広すぎて、わからなくなりませんか」と思わず口にすると、「それはねえな。」と稔弘さん。ぼこ(棒)を立てて目印にしているのだそう。

 稔弘さんは「あきたこまち」と「サキホコレ」の2種類を作られています。「あきたこまち」は言わずもがなですが、「サキホコレ」は令和4年にデビューした秋田県が推すブランド米です。(サキホコレの命名についてはこちらのブログをご覧ください)

2025年夏の田んぼ見学

 末野のショウキサマ(横手市大森)や岩崎のカシマサマ(湯沢市)の取材で秋田を訪れた昨年7月に、稔弘さんの田んぼを見学させていただきました。

「稲っこのここさ、稲っこの赤ちゃんさ出る。」

「これくらい伸びる。すんごく急に伸びるから。これくらいになったら稲っこの赤ちゃんができるんだ。そのあたりが『幼穂形成(ようすいけいせい)』で、そのときに肥料を振らねばならないのよ。」

 稔弘さんは稲を子育てするようにお話しされるので、なんだか稲っこがかわいくみえてきます。

水がない!

 7月の取材時は順調に稲が育っていましたが、その後危機的な状況に陥りました。「1番水がほしいときにダムの水がなくなったんですよ!」と稔弘さん。
 水が必要な時期とは、稲の花が咲く7月の下旬から8月の上旬にかけて。昨年は7月16日以来1か月近く雨が降らなかった、とABS秋田放送の過去のニュース動画でも報じていました。

「取材のときは大丈夫だったんですよ。あのあと雨が降らなくて、ダムに水がなくなって。国営水路といって国の水路があるんですけど、それに水がこないもんだから、どうしようもなかったですね。」

「まず初めてです、こんなに水がこなかった年は。ここまで何十年もやってきましたが・・・」

 必要な時に水が不足した場合、稲へどんな影響があるのでしょうか。
「最悪だと稲が枯れてくるんですよ。田んぼ全体が枯れるのではなく、尻の方、水を抜く方が枯れます。入る方はたまにいれるから水が少しあるんですけど、ちょろちょろの水では最後の方までいかないんですよ。」

 稔弘さんはそれぞれ違う場所に点在している田んぼを管理されています。水路の上流にある田んぼに水がくれば、水は中へどんどん流れるそうですが、水路の下流にある田んぼの場合、枯れるまではいかないものの、実をつけません。例年に比べ1割ほど収穫が減ったといいます。

 昨年はカメムシの被害や高温障害をなんとか乗り越えましたが、「水がこないもんだから、どうしようもないですね。」と稔弘さんは淡々と語られました。

あきたこまちR(アール)

斉藤農園の田植えの様子(あきたこまち)

 秋田が誇る米の品種「あきたこまち」。コシヒカリと奥羽292号を交配させ、1984年に秋田県で誕生しました。東北地方を中心に現在は全国で栽培されています。

 「あきたこまち」は2025年から「あきたこまちR」という品種に変わりました。海外輸出における厳しい基準をクリアするために開発された「カドミウムの吸収性が極めて低い品種」であり、より安心して食べることができます。

 余談ですが、昨夏に和歌山を旅行した際、刈り取った稲を天日干しされていた男性と話す機会がありました。その男性は「秋田に住んでいたの?そういえばあきたこまちは今年からあきたこまちRになったよね」と口にされました。お米業界では注目されていたのかもしれません。

 「あきたこまちR」は従来の「あきたこまち」と育て方は異なるのか稔弘さんにお聞きすると、
「ちょっと違うんですよ。基本的にあきたこまちよりも収穫が少し落ちる。収入が少なくなる品種なんです。そういうのさ頭に入れておかないと。」
 稔弘さんはよく農作物に関する勉強会に参加され、最新の知識や情報を積極的に取り入れていらっしゃいます。そして実際に作付してみると、ほとんど変わらなかったそうです。

秋田のブランド米「サキホコレ」

斉藤農園の稲刈りの風景

 全国のブランド米「つや姫(山形県)」、「ななつぼし(北海道)」、「青天の霹靂(青森県)」、「にこまる(九州)」等がひしめく中、秋田県も生き残りをかけ、平成26年よりブランド米の開発に取り掛かりました。「コシヒカリの食味を超えること」「収量や栽培特性(いもち病に強く、高温や低温による品質低下も少ない)があきたこまち並み以上であること」「高温(猛暑)に強いこと」が目標に掲げられ、令和4年にデビューしたのが「サキホコレ(秋系821)」です。(※)

 パッケージデザインには毛筆書で「サキホコレ」と書かれています。こちらは日本デザインセンターの原研哉さんがデザインされたそう。

秋田空港到着時に撮影した写真(2022年)

※参考:「トップブランドを目指して! ─「サキホコレ」の開発と今後の展開について ─」齋藤 正和氏

サキホコレの栽培はむずかしい

 稔弘さんが「サキホコレ」の栽培を始めたきっかけを教えてもらいました。

「自分でも食べてみたいし、興味もあったし。あとサキホコレは誰でも植えれるわけじゃないんですよ。成績いい人でなければ植えたらダメなの。」

「稔弘さんは成績がよかったからできたのですか。」と私。

「うん、たまたまな。」と稔弘さん。

「成績がいいっていうのは?」とお聞きすると、

「米の出荷の成績だな。1等米がなんぼだの、品質がなんぼだのって。
それの評価でおたくはサキホコレを植えてもいいですよ、おめえは成績悪いから今回はダメですよとかってなる。」

 サキホコレの栽培は、高い技術を持つ生産者に作付を限定されています。その栽培方法は厳格に決められており、例えば米のタンパク質を6.4以下にするというルール。肥料を大量に使えば収穫はあがりますが、同時にタンパク質の数値もあがってしまう。タンパク質が増えるとおいしくなくなると稔弘さん。

 「サキホコレは決められた通りの管理しかできないから。決められた肥料や薬しか使ってはダメ。自分であの肥料を使いたいなと思ってもダメなんですよ。」

 それでも作り続けるのは、「サキホコレを植えてみたいし、やっぱりお土産でサキホコレをちょっとあげたらみんな喜んでくれる。」という思いから。また「サキホコレ」は高温障害に強い性質があるので、猛暑の影響を受けにくく今後のお米づくりには欠かせません。

 なお「サキホコレ」は2025年より、農薬と化学肥料を通常の量の半分以下に減らすことで特別栽培が標準化されました。秋田県の「安心しておいしいお米を食べてほしい」という本気が伝わってきます。
 ちなみに稔弘さんが所属するJAふるさと管内では、いち早く2023年から特別栽培米を作られていたそう。

食味ランキングで特Aを獲得

 毎年日本穀物検定協会が食味試験を行い、「特A・A・A’・B・B’」の5段階で「米の食味ランキング」を発表しています。
 2025年2月の発表によると、食味試験が行われた143産地品種のうち、特Aに選ばれたお米は39産地品種でした。新潟の魚沼産コシヒカリや「サキホコレ」も特Aを獲得。また「あきたこまち」は全国で栽培されていますが、稔弘さんの田んぼがある秋田県南部で栽培された「あきたこまち」だけが、特Aの評価を得ました。

あきたこまちとサキホコレ 味の違い

 「あきたこまち」はおいしいけれど、ブランド米「サキホコレ」に比べると味が劣ってしまうのではと思われそうですが、個人的な好みとなりますが、わたくしは「あきたこまち」派です。
 稔弘さんも「サキホコレもおいしいけども、あきたこまちよりずっとおいしいっていうわけでもねえんだ。やっぱりあきたこまちがおいしいよ。」とおっしゃっています。

 もちろん「我が家はサキホコレ派」という方もたくさんいらっしゃるので、両者のお米は大変おいしく、お好み次第というところでしょうか。

 味の違いについて稔弘さんにお聞きしました。
「あきたこまちはふっくら、もっちりした食感で甘さがあるのに対して、サキホコレは粒がしっかりし、甘み、粘り、香りのバランスがよい。どちらも甲乙つけがたいです。」

 ぜひ食べ比べていただければと思います。

今年のお味は

早速試食してみました!
個人的な好みになりますが、いつもは粘り気が強い「あきたこまち」の方が私は好きなのですが、2025年は「サキホコレ」が秀逸でした。炊き立てのサキホコレを口にすると、甘さがあり、適度な粘り気と固さの絶妙なバランスに、日本人に生まれてよかった!!!と心底思いました。もちろん、「あきたこまち」もうっとりするようなおいしさでしたよ。

斉藤農園のお米を買えます

稔弘さんからメッセージをいただきました。
「やっぱりおいしくなるように丹精込めて作っています。個人的に買ってもらっているお客さんが何人かいらっしゃるのですが、お宅の米は別だな、おいしいなあってみんな言ってくれるんです。だから今まで通りの作り方で大丈夫なのかなあって思っています。」

 お値段については、変動するためこちらのブログで記載できませんが、「お店で売っているよりはお安くします」とのこと。ご参考に「あきたこまち」5kgの価格をネットで調べてみると5000円前後。
 また「サキホコレ」は5kgで6600円ほど。その価格を伝えると「ほう、随分高いな。それよりは全然安く出しますけど。ほしい人がいればね。」と稔弘さん。

 スイカのご注文と同じく「連絡をいただければ直接買いに来られても大丈夫です。」とのことでした。新米は冷蔵庫で保管しているので味は変わらないので、いつでも大丈夫ですとおっしゃっていました。

稔弘さんはご子息の裕磨さんと奥様と農業を営まれています

 田んぼのお仕事が終わり、今は寒じめほうれんそうを育てながら、好きなジャズを聞いたり、村上春樹の本を読まれているという稔弘さん。「仕事も一生懸命、遊びも一生懸命という気持ちでやってます。」という言葉に、稔弘さん達が一生懸命育てたお米は、手間暇と愛情をたっぷり込められているからこそ、こんなにもおいしいのだとしみじみ思います。

お米のご用命は斉藤農園まで

食味ランキング特Aを獲得!
あきたこまち&サキホコレ

TEL 0182-42-0350

  • お値段(目安):変動します。市販の「あきたこまち」(市販の目安は5kg5000円前後)や「サキホコレ」(市販の目安は5kg6600円ほど)よりはお安く販売されています。お問い合わせくださいませ
    ※送料は別途
    ※それぞれ5kg、10kg
    お支払い方法:お振込み
  • 注文方法:お電話または事前にご連絡いただければ直接来園されてもOKとのこと

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara