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(番外編)四国のタヌキ伝承をアートに 特別展示「真・四国タヌキ学」開催

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 暑い日が続きますがみなさまいかがお過ごしでしょうか。
 現在大阪に住むわたくし宮原は、先日秋田へ飛び、県南を中心に人形道祖神巡りをしてきました。皆瀬川流域に点在する「ニンギョウサマ」を含めておよそ30体の神様とご対面。「やっぱり人形道祖神はおもしろい!」 と痛感しました。楽しみ方を後日レポートでご紹介いたします。

 さて、今回は番外編です。私は縁あって四国でタヌキの伝承を調査し、アートに表現する機会をいただきました。夏休みシーズンに合わせ、その集大成を香川の琴平で特別展示「真・四国タヌキ学」を開催いたします。合わせて今週7月19日(金)18時より配信されるオンライントークライブ(無料)をご紹介いたします。後者には四国タヌキ学の専門家をお招きしますので、タヌキ通になれるかもしれません!?

●関連ブログ
展示告知 ~展示の経緯と概略について←今回のブログ
(前編)展示の搬入とオンライントークライブ 
(中編)タヌキ伝承の基礎知識 ~徳島県立博物館の学芸員・磯本さん登場
(後編)リサーチとアート ~タヌキ絵のご紹介

●目次
(1) 四国のタヌキとは? ~タヌキ火、化けタヌキ、タヌキ憑き
(2)  「タヌキ」との出会い
(3) タヌキにまつわる伝説を調べてみて
(4) 7月20日より特別展示「真・四国タヌキ学」が開催!
(5) 7月19日18時~オンライントークライブ開催!

四国のタヌキとは?

~タヌキ火、化けタヌキ、タヌキ憑き

 タヌキに関する古い言い伝えは四国にたくさん存在します。徳島の伝承「阿波の狸合戦」は、ジブリ映画「平成狸合戦ぽんぽこ」のモデルになったと言われています。

 タヌキに関する文献を探すと伝承が次々と出てくるので、「四国のタヌキ伝承の分布がわかるマップはありますか?」と、この度の調査にご協力いただいた徳島県立博物館の専門学芸員の磯本 宏紀さんに聞いてみました。「あったら私が欲しいくらいです!」と磯本さん。

 磯本さん曰く「タヌキのリアルで不思議な話は、今となっては山間部で暮らす80代の方でないと出てこないと思いますよ」。確かに都市部でヒヤリングさせていただいたところ、70~80代の方が「子どもの頃に親から聞いたことがあるくらい」というものでした。

 一方で(主観ですがとりわけ徳島県では)、タヌキが女子高校生にとって身近な存在であることが、たまたま通りすがりの彼女たちに声をかけたことでわかりました。お寺同士「タヌキ」を介して手を取り合う地域もあります。姿・形を変え、今でも人々の心の中に生き続けているタヌキとは一体・・・!?

 このたびのプロジェクトでは、

 ・隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)(愛媛県)
 ・喜左衛門タヌキ(愛媛県)
 ・青木藤太郎(徳島県)
 ・金長タヌキ(阿波の狸合戦の主人公)(徳島県)

 の伝承に絞って調査を行い、絵に描き起こしました。調査の様子は宮原のブログ記事をご覧ください。

タヌキ」との出会い

 私が「四国タヌキプロジェクト」に携わることになった経緯をご紹介します。

  「秋田人形道祖神プロジェクト」の活動を知ってくださった「シコック」のYさんが人形道祖神の絵を気に入ってくださり、このタイミングで声をかけていただいたのでした。とても嬉しかったです。

 ちなみにYさんは、若々しくシティ的な雰囲気の男性です。背が高く、ご本人曰く「タヌキというよりキツネ顔」だそう。東京でバリバリお仕事をされていたそうですが、縁あって四国へ移住。「ゆくゆくは農業をやりたい」とおっしゃっていました。複数のお仕事を運営されていますが、ベースはやっぱり「四国」。四国にたくさんの人に来てほしいと考え、四国の新たな情報発信源として、タヌキプロジェクトが始まりました。

タヌキにまつわる伝説を調べてみて

香川県屋島の風景。美しい色に感動しました。四国には海も山もあり、そしてご飯もおいしい。温暖な気候に東北とは違うなあと改めてびっくり。

 四国タヌキの伝承を調べるために、急遽「シコック・タヌキ」チームが結成されました。カメラマンのSさんとライターのKさん、そしてYさんとAさんの5名で四国は愛媛や徳島、香川を巡り、たくさんの方々にお話を伺ってきました。

「なんで四国はキツネではなくタヌキの信仰が多いの?」
「タヌキは神様?眷属?」
「古い祠にタヌキ信仰が上書きされている?」
「あなたにとってのタヌキとは?」

 ライターのKさんと一緒に矢継ぎ早にたくさんの質問をさせていただいたところ、みなさまにあたたかくご対応くださいました。話し手の方のお人柄があまりにも素敵で「タヌキ」以上にうっとりしてしまうことも。その節は誠にありがとうございました。

 そしてタヌキについて知れば知るほど、「生き苦しい現代だからこそ、タヌキの考え方が生きる助けになる」ことがわかりました。ちなみに新型コロナの感染拡大時期にタヌキの問い合わせが増えたというお話がありました。

 この度描いた絵は、リサーチ中に得たインスピレーションをたっぷり詰めることができました。調査に登場した「犬神」や「ムジナ」をヒントに、タヌキの境界を曖昧にしながら自由に表現しました。詳しいエピソードは来週19日(金)のオンライントークライブでご紹介できればと思います!

7月20日より特別展示「真・四国タヌキ学」が開催!

https://www.instagram.com/p/Cc9IOKtvQyM/?utm_source=ig_web_copy_link

 リサーチの集大成として、7/20(土)より特別展示「真・四国タヌキ学」が「琴平文具店」(香川県琴平町)で開催されます。

 タヌキの新作4点も展示。「琴平文具店」は金毘羅さんのすぐ近くにあり、オリジナルノートを作ることができるおしゃれなお店。こちらの一角のギャラリーで開催されます。

展示会場は金毘羅さんのすぐ近く

7月19日18時~オンライントークライブ開催!

無料。ご予約はこちらからどうぞ

 特別展示のスタート前日7月19日(金)に特別ゲストをお招きし、オンライントークライブを開催します。四国タヌキについてたくさん解説していただくので、これを聞くだけでタヌキ通になれるかも!?

 トークライブでは、リサーチでよくわからなかったことやもっとお聞きしたい部分を、時間が許す限り絵を交えていろいろ質問させていただけたらと思います。この様子は人形道祖神のリサーチと幾分似ているかと思います。

 人形道祖神とはまた異なるゆる~くディープな面白さが詰まった「四国タヌキ学」。四国旅の新しいヒントにもいかがでしょうか。私は次回、祠巡りをしたいです。


◉7/19(金)18:00- 
四国タヌキを知る!オンライントークライブを配信!
特別ゲストもお呼びして、四国タヌキ伝承をトークセッション形式でをオンライン配信します →(ご予約・無料)https://sicoc03.peatix.com/

◉7/20(土)-8/26(月) 特別展示「真四国タヌキ学」
タヌキ絵「隠神刑部(愛媛)「喜左衛門タヌキ(愛媛)」「金長タヌキ(徳島)」「青木藤太郎(徳島)」の新作も展示されますー!
場所:香川琴平の琴平文具店
香川県仲多度郡琴平町 183番地
https://kotohira-bungu.com/

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Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara