Blog

菅江真澄も見た⁈小雪沢の木像道祖神を取材しました

投稿者:小松 和彦 投稿者:小松 和彦 小松 和彦

江戸時代後期の紀行家・菅江真澄は大館から鹿角へ向かう途中の小雪沢(大館市)で男女一対の朱色に塗られた木像を見ました。真澄はこれらを「避疫神(ヒエキガミ、または、サエノカミ)と呼び、村に疫病が入ってこないように祀られている人形であると絵と文で記録しています。詳しくはこちら→ヒエキガミが来た道①真澄が描いた人形道祖神

小雪沢には今でもドジンサマ(ドンジンサマ)と呼ばれる男女の人形道祖神が集落の下(女神)と上(男神)に一体ずつ祀られています。6月中旬に行われるドジンサマの祭りでは毎年木像を塗り替えます。いつもは東と西に分かれて村を守護している男神と女神が並んでいる姿を拝めるのは一年に一度、この日だけ!6月16日、取材に伺いました。

ドジンサマは後ろ向きに立っております

朝8時に到着すると、ドジンサマはすでに祠から出されて、会館で塗り替えの準備が行われていました。2体揃い組のドジンサマを見ただけで私たちはテンションUP!小雪沢Tシャツを着てこの日の取材に臨んだ宮原さんと記念撮影。

ベンガラを塗った後、乾燥させています

一度、表面の色を落とし、ベンガラを使って塗り替えます。普段は見ることができないドジンサマのプリミティブな表情が浮かび上がり、私と宮原さんは何度も「おお~」と感嘆しました。真澄が描いた「避疫神」の顔に似ています。

毎年微妙に表情が変わるそうです

ベンガラが乾いた後、筆で顔を描きます。絵筆をとったKさんは今回が初挑戦。デビュー作は皆さんにとても好評でした。

ドジンサマの塗り替えが終わった後、会館の床の前に男女のドジンサマが並んで立てられました。その前で直会が行われた後、午後2時に元の祠にお戻りになりました。

真澄ゆかりの「避疫神」の祭典は思っていた以上にエキサイティングでした。詳しいご報告はいずれ改めて。快く取材を受け入れて頂いた小雪沢集落の皆様、本当にありがとうございました!

あいにくの雨の中行われた「さなぶり運動会」

取材はこれだけでは終わりません。小雪沢の取材の合間、長木沢地区の「さなぶり運動会」に伺いました。この地区の皆さんが一堂に会するという事で、民俗行事に関する突撃インタビューを敢行。そして次回の取材も決定しました。

土目内のニンギョウ

今回は「大館市にある人形道祖神をコンプリートする」というミッションも。実はまだ見ていない人形道祖神が五カ所ありました。小雪沢の取材の後、すべて周りましたが、山の上にある一カ所だけ、登山道が茂みに隠れていて泣く泣く断念・・・。いずれ、再訪したいです。

『村を守る不思議な神様2』は日々完成に近づいております。「1ページ、空白ができました」という報告を受けて、菅江真澄に関するコラムも書きました。多才な真澄の人物像について1ページにまとめるのは結構大変でしたが、宮原さんに「とても分かりやすいです」と言われて胸をなでおろしました。こちらも是非お楽しみに。

Writerこの記事を書いた人

投稿者:小松 和彦
郷土史研究 小松 和彦
工芸ギャラリー・小松クラフトスペース店主 『秋田県の遊廓跡を歩く』(カストリ出版)、 『新あきたよもやま』(秋田魁新聞デジタル版) などを執筆。 http://www.komatsucraft.com/ Twitter @Komatsucraft