Blog

今年は最高に甘くてジューシー!ブランドスイカ「あきた夏丸」がやってきた!

投稿者:宮原 葉月 投稿者:宮原 葉月 宮原 葉月

 暑中お見舞いを申し上げます。今年も最高に甘~いスイカが秋田からやってきました。
 甘くてジューシー、そしてシャリ感の三拍子が揃った秋田が誇るブランドスイカ「あきた夏丸」シリーズ。今年も秋田県横手市十文字の斉藤農園の齊藤稔弘(としひろ)さんから小玉の「チッチェ」が届きました!

【目次】
(1)あきた夏丸との出会い
(2)スイカ畑を見学 ~今年見に行きました!
(3)としひろさんの農業スケジュール
(4)小玉スイカ「チッチェ」は世話が大変、だけど絶品
(5)異常気象とスイカ
(6)親子2代で
(7)スイカはアート
(8)厳しい検査を乗り越えて
(9)おすすめのスイカの食べ方

 あきた夏丸シリーズの小玉スイカ「チッチェ」。包丁を入れた途端、たっぷりの果汁の感触が手に伝わってきました。スイカを口に含むと、そのジューシーさといったら!今年はとりわけみずみずしく、さらにとても甘い。皮が薄いので皮の端ギリギリまでおいしさが詰まっています。

 早速知り合いの2家族にも食べてもらうと「甘い!」「家族5人であっという間に食べきってしまった」「普段スイカを食べない人がもう一口と言ってくる」という感想が届きました。

 斉藤農園さんの元にも「いつにも増して今年はおいしい」「全国のブランドスイカを食べてきたが斉藤農園のスイカが一番」というお声が続々集まっているとのこと。

 ちなみに「あきた夏丸」とは、スイカの一大生産地である横手盆地の高温多湿な気候に合わせて開発されたスイカです。2007年に品種登録されデビューしました。

あきた夏丸との出会い

 秋田県内の民間信仰の神様「人形道祖神」を取材していて偶然出会った秋田の絶品のスイカ。「スイカってこんなにおいしかったっけ?」とびっくりした私は、2022年からスイカの調査を開始しました。

書籍『村を守る不思議な神様 永久保存版』(KADOKAWA)より
書籍『村を守る不思議な神様 永久保存版』(KADOKAWA)より


 これまでに何度も秋田県横手市十文字でスイカをつくる齊藤 稔弘さんの畑に足を運びました。「スイカを育てられたら一人前」という稔弘さん。今年もスイカのことをたくさん教わったのでレポートします!

スイカ畑を見学

 今年7月、出荷を1週間後に控えた稔弘さんの畑を見学させていただきました。「玉回し」という、日光が均一に当たるようスイカをクルクル回す作業を拝見。ツルの部分が白くなる「つるかげ」をなくし、熟度を均一化するために行われます。

 またスイカに皿を敷く「皿敷き」の作業も見学しました。稔弘さん曰く「皿を敷くとスイカの底も傷つかないし、色がきれいに付きます。まず味には関係ないけど、色が薄くなると気になる方もいらっしゃるので」とのこと。丁寧な所作をみている内に、スイカが宝石のように思えてきました。

としひろさんのスケジュール

 取材に訪れた日は「明け方の4時半に畑に出た」と稔弘さん。「1日のうち落ち着く時間はありますか」と尋ねると、「落ち着くってことはない。こっち終われば、田んぼもいっぱいやってるから。」

大きな田んぼで「あきたこまち」と秋田県が推し進めるブランド米「サキホコレ」をつくる稔弘さん。「サキホコレ」は「(お米の)成績が良い人でなければ植えたらダメなんだ」とのこと。稔弘さんが作られた両方のお米をいただきましたが、ほっぺたが落ちるくらいおいしかったです。直売も可能とのことで、新米の時期に改めてお知らせできたら。

 取材時は田んぼの水が抜かれており、「幼穂形成といって、稲っこの赤ちゃんができる頃にまた水を入れます」と稔弘さん。

 スイカが終われば次は枝豆、その後は稲刈り、という具合に作業が重ならないようスケジュールが入念に組まれているそう。

 「若いときは、飯食えば夜の8時9時。毎日そういう感じだった。日が落ちるまで仕事したったのも・・・やっぱり、来年は古希だからあんまり無理すぎるとダメだな。だからちょっと早く家に帰るようにしてる。今は6時くらい。家でビールを飲んだらバッタンキューだ」と笑いながら教えていただきました

小玉スイカ「チッチェ」は世話が大変、だけど絶品

 小玉スイカの「チッチェ」の名称は、秋田弁の「小さい」、「ちっちぇ」からきています。大玉スイカ「あきた夏丸」の特性を受け継いだ品種です。

 「小玉(チッチェ)は積算温度で900度。受粉してから大体30日から35日の間で収穫します。チッチェは全部手で受粉ですよ。チッチェは自分の花粉ではつかないんで、他の品種の花を持って行って受粉させます」と稔弘さん。

 上記のスイカ畑の写真でビニールを被っているのが、手で受粉する「チッチェ」や種なしスイカ(アカオニ・クロオニ)群。「チッチェ」は1列に100株が植えられており、1株に5個のスイカができるので、ざっと500個/列の計算。


書籍『村を守る不思議な神様 永久保存版』(KADOKAWA)より

 同じ日に受粉させた列が2本ずつ、全部で12本あるのでそれらを順繰り管理します。「スイカの列が2本ずつだから、こっちの作業が終われば、次にこっち。こっちの作業があればまた2本て、その繰り返しです。」と稔弘さん。

 稔弘さんが所属するJA秋田ふるさとの十文字支部では、スイカ栽培をされている農家さんは百十数名いらっしゃるそうで、そのうちチッチェをつくるのはおよそ20名。全体の2割弱、チッチェの大変さが伝わってきますね。

異常気象とスイカ

 昨年はスイカの収穫時期に集中豪雨が重なり、「JA秋田ふるさと」管内のスイカは甚大な被害を受けました。今年は4~5月に稀にみる低温が続き、対応に苦慮されたお話を伺いました。「すごく大変だった。難儀した年です。スイカに寒さをあてると成長するスピードが遅くなっちゃうんです」と稔弘さん。

 また今年の夏は「これまでないくらい異常な暑さで、こっちの昨日の気温は38度、今日は37度(7月31日時点)。スイカが夏バテしてしまって、ビニールをかけない『あきた夏丸』がうるみ果(※)になり、収穫できないものが昨年より多い」とのこと。
※熟しすぎ水っぽくなる。商品価値がゼロとなり出荷できない。

 「順調に育てることは難しいのですね」と口にすると、「そうですね、その年によって今年は何か変だなっていうのがある。やっぱり何でもそうですけど、順調だな、が一番。その都度土壌や気温の調整をするので、やり方が間違っていなかったんだなぁって思う」と稔弘さん。

 今年の猛暑は従来の対応では追いつかないとのことでしたが、昨年の大雨対策で功を制した稔弘さんなら、きっと秘策を見出されるのではと思います。

親子2代で

 斉藤農園は稔弘さんとご子息の裕磨さんによって営まれています(奥様もお手伝いされている)。そこで若手の裕磨さん(32歳)にお話を伺いました。

 裕磨さんは高校の農業科を卒業後、農業試験場で2年間学ばれたのち農家を継がれました。スイカづくりは10年ほど。農業を継いだ理由は「中学校のときからずっとやろうと思っていた。家が農家であることが大きいですね」と裕磨さん。

 お父様のご指導についてお聞きすると、「親父はいろいろ見て学べというタイプなんで、そんなに。親父以外にもスイカをやってる人がたくさんいて、みんなアドバイスをくれます。それらを取り入れ、知識が偏らないようにしています。またネットで色々調べたりも。」

 また裕磨さんにこれまで一番びっくりされたことを伺いました。「去年の集中豪雨は間違いなく一番大変でした。」「一番嫌なのが、急に雨降ったりとか予測できないこと。急な大雨が降ってスイカが浸かっちゃったら(※)、うわぁって。他にもカンカン照りになって、日焼けみたいになればもう売り物にならないやつも出てくるし。狸とかがかじれば、売り物にならないんで、もうわあって。」
※水に浸かったスイカは病果扱いになり出荷できない

 今では裕磨さんは斉藤農園の大きな柱に。稔弘さん曰く「今じゃ息子いねば、うちの経営は成り立たたね」

スイカはアート

「自分の仕事の内容が100%スイカにつながると思っているんで、丁寧にやっていきたい」

「うちだけじゃなくて、みんな一生懸命頑張って自分の一番いいものを食べてもらいたいと思って作業しているから、喜んでもらえたらいいと思う。」

 裕磨さんのお話をお聞きし、ふと自分の作品づくりのことが頭に浮かびました。「いい加減に作った作品は見向きもされませんが、命を削って描いたものは不思議と通じる」。スイカもアートも同じなのだと思いました。

厳しい検査を乗り越えて

 取材で印象的だったのは、JA秋田ふるさとによるスイカの管理体制がとても厳しいこと。ペナルティ等が設けられ、市場に品質に問題があるチッチェを出さない仕組みが作られています。

 稔弘さんが所属するJA秋田ふるさとの十文字支部では、スイカ栽培を行う農家さんが互いの畑をみてまわります。「私も検査するんだけど、ちゃんとやってるかっていうのを見る。例えばツルの18から25節の間に良いスイカがなるので、18節の前についたものは摘果する、他にも虫がついていないか、圃場を草だらけにしていないか等チェックしますよ」と稔弘さん。

「畑をきれいにしておかないと、粗末なところに虫さついて、それがスイカに来ちゃう。きれいにしておかねば。畑をあんまり粗末にしておくと、やっぱり粗末なスイカになるよ。」

 「人の畑を見れば勉強にもなるし、これはいいやり方だな、俺真似してみようかなとかって。こんな場合はダメだとかって言うよ。人の畑を見るっていうことは大変いいことだな。」

収穫されたあきた夏丸シリーズ。稔弘さんの収穫部屋にて

 収穫前には必ずサンプルを「農協へ持っていき、糖度や熟度などの検査をしてもらい、OKが出たら一気にもぐ。自分のスイカは検査できません!」と稔弘さん。

 自分たちのスイカの価値を高めていこう、おいしいスイカを食べてもらいたい、というみなさんの本気が伝わってきます。

「三平シール」は本気の証。
ちなみに漫画『釣りキチ三平』の作者・矢口高雄さんは秋田県横手市のご出身

スイカの食べ方

 スイカのプロフェッショナルに一度は聞いてみたかった「スイカの最高の食べ方」。稔弘さんにお聞きすると・・・

「スイカはやっぱり天気良い時に冷やして水かわりにがぶっと食べるのが一番美味しいんじゃないかな」

 チッチェを食べたみなさんが一様に「おいしい!」と口にされる今年のあきた夏丸シリーズ。私も傑作の年ではないかと思います(毎年傑作といえるくらいおいしいですけど)。今年の夏は、キンキンに冷えたあきた夏丸をがぶっといってくださいませ!

糖度14度の甘~いスイカのご用命は斉藤農園まで

TEL 0182-42-0350

  • 収穫時期:7月15日~お盆すぎくらいまで
  • お値段(目安):チッチェ(小玉)2個入りで3,000円
    ※税込み
    ※送料は別途
    ※斉藤農園のチッチェは2Lサイズで少し大きめ!
    ※近くのお店では2個入りが5,000円以上で販売されているという情報も
    ※他の品種(大玉のあきた夏丸等)もご注文いただけます
  • お支払い方法:お振込み
  • 注文方法:お電話または直接来園されてもOKとのこと

Writerこの記事を書いた人

投稿者:宮原 葉月
イラストレーター 宮原 葉月
広告・書籍・雑誌でイラストを描く。 「LOWELL Things」(ABAHOUSE)とのコラボバッグ、 シリーズ累計49万部「服を買うなら捨てなさい」(宝島社) 装画等を担当。 http://hacco.hacca.jp Twitter @hatsukimiyahara